第32回 組織と人に纏(まつ)わる課題と克服法(その1)

マネジメント

「こんにちは、かんれき財務経営研究所の雄蕊覚蔵です!」第32回は、組織と人に纏わる課題と克服法について、「その1」では、組織について雄蕊なりの考えを掘り下げて紹介させていただきます。

 

組織が肥大化すればするほど、業務の効率化のために多くの部署を設置する必要が生じてきます。そうした組織では、1つの仕事を成し遂げるために部門間の連携・協力は必要不可欠なものになってきます。
部門間の協力・連携がスムーズに行えるか否かは、部門間でのコミュニケーションがうまく取れていることが重要なカギになると思います。
しかし、現実の組織では、多くの部門があればあるほど部門間の対立が起こりやすくなってしまいます。正直、雄蕊が関わっている企業でも、部門間対立は、なかなか解決できない根深い課題となっています。

《部門間の連携・協力の難しさ》
業務の効率化のために細分化された部門は、それぞれの専門性が高いため、他部門との連携・協力が難しくなる傾向があります。部門に属するスタッフは、所属する部門内での業務に没頭していますので、他部門に目を向けることができなくなるのは当たり前のことだと言えます。そうすると、自分の業務の大変さばかりが目について、他部門への不満が爆発してしまい、協力どころではなくなってしまう状況がしばしば起こるのです。
部門間の対立が起きてしまうと、組織全体がコミュニケーション不全に陥り、効率の低下、業績の悪化をもたらす危険性が大きくなります。効率化のために設立した部門のはずが、対立を放置するとかえって企業にとって不利益になってしまうこともあり得るのです。

《部門間の対立を生む要因》
部門間の対立の要因を雄蕊なりに考えてみます。

要因1:企業の理念やビジョンが浸透していない
企業としての理念やビジョンが浸透していないと、企業全体の目的や方針が不明確となり、部門ごとに異なる方針を主張しはじめ、対立が起きてしまうことになります。部門によって方針にズレが生じている場合、部門間対立を引き起こしやすくなってしまうのです。

要因2:他部門との能力の差や人手不足
他部門と連携・協力をしていくうえで、自部門の満足する働きをしてくれないとその部署に対して良い感情を持てなくなるスタッフが増えてきます。他部門の能力不足や、人手不足等の問題で、影響を受けている周りの部署は不満が募る一方になります。「なぜ他部門のしわ寄せがこちらに来ているのか」等の不公平感を慢性的に抱えている場合だと相手方にもそれが伝わり、険悪になってしまうという事態も考えられます。

要因3:お互いに主張し合い譲らない
部門同士のコミュニケーションが断絶されてしまうと、お互いのことを理解しようという気持ちも薄れます。それぞれの部門が独立しすぎていると、もはや他部門と積極的に関わろうとすることも少なくなります。これでは、いざコミュニケーションを取ろうとしても、「理解できない」という先入観が邪魔をして、相手部門との対立を招いてしまう結果になってしまいます。

要因4:部門重視の制度
同じ企業内の一部署であるはずが、部門という単位が重視されすぎて「この仕事は必ず○○部門が担当」等と厳しく決められると、他部門が手を出せない状態になってしまい、それが部門同士の協力体制や柔軟なコミュニケーションの妨げになり、部門間対立に繋がる可能性が高まるのです。

要因5:先入観や固定観念(心理的なわだかまり)
他部門との連携がうまくいかなかった過去の経験等を消化できず、わだかまりを抱えている場合も、部門間対立に繋がる可能性があります。いやな思いをさせてきた相手部門に対して、「もう一緒に仕事をしたくない」という心理的な抵抗感を持ち続けたまま仕事に臨むことになり、ちょっとしたことで不満が表面化し、部門間対立に至ってしまう危険性があります。

要因6:自部署の利益を重視する
部門間で利害の不一致があり、お互いに自部署の利益を優先しようとすれば、部門間で対立が起こることになります。会社全体のビジョンや目標よりも、自部門の損得を重視してしまうために起こる対立です。例えば、他の部門が協力をもとめてきても、自部門から人手を割くのは不利益と考えて非協力的な態度に出てしまう等のケースが考えられます。

《部門間対立を克服するには》
次に、部門間対立を克服するために取り組むべきことについて考えてみます。

克服法1:経営トップのコミットメント
経営トップから、しっかりした大きな方針が打ち出されていることが重要です。大きな方針に基づいて、各組織が動いているということを全スタッフが理解できていれば、ベクトル合わせは容易になります。それぞれの部門は一生懸命になって部分最適にはなっているかもしれませんが、全体最適になっているとは限りません。

克服法2:情報の共有化
相互に連携しやすいように、情報の共有化を図ることも重要です。同じ情報をもとに議論すれば、結論への到達は早くなり、さらに自由な雰囲気で議論すると隠れていたインフォーマル(非公式)情報も表に出てきます。こうしたことが更に情報の共有を進め、コミュニケーションギャップを埋めることができるのです。
オープンな議論ができる雰囲気にあるかどうかがカギになります。議論の場で責任追及が始まってしまうと、スタッフは、口を閉ざし、重要なこと等を隠してしまい、真実の情報は誰もいい出せなくなります。混乱や対立は不正確な情報に基づいて起こるものなので、オープンな議論の場での責任追及は避けるべきです。

克服法3:部門間を繋ぐ人材の育成
部門間をつなぐ人材を意識的に育て、日常業務のなかで連携する場面をたくさん作ることが、部門間の連携・協力の強化に繋がると考えます。
部門間でうまく連携・協力していくためには、周囲を巻き込む力を持った人間が上に立つことが効果的です。部門という壁を越え、一歩踏み出していける力を持った人がいれば、部門同士を結び付け、うまく連携させることができると思われます。周囲にうまく助けを求めることのできる「周囲を巻き込む人」こそ、上に立つのに相応しいと言えます。

部門間の壁を崩すのには職場横断的な委員会活動やプロジェクトチーム活動などを頻繁に開催するのが有効だといえますが、日常業務とチームでの活動が同時期に起こりますので、スタッフ一人ひとりの負荷は大変なものになります。直属の上司とプロジェクトチームのリーダーとが正当に評価をしないと、活動は活発になりません。職場代表が集まる横断的なチーム活動の場が利害調整の場になってしまったのでは本末転倒です。

克服法4:経営トップ、経営陣とのコミュニケーションの場の設定
職人的な人が中心になっている職場等で見られるのですが、依頼されたことは完璧にこなすが、職場全体で協力して何かをしようとしても、非協力的になってしまうことがあります。年齢が高いケースが多いのですが、横につなぐことや、新人の育成を担当させる、職能の拡大を意識的に行う、などの必要があります。このような人は保守的で今までのやり方を変えたがりません。籠もっていては企業全体の生産性は上がらないということを納得してもらう必要があります。経営者や経営陣自らが話し合いの場に立ち会って、引き込むことが重要です。

克服法5:当事者間で議論させない
対立が起こってしまった場合は、当事者同士を対峙させるのは避けるべきだと思います。当事者同士が納得いくまで議論させることは、一見対立解消に良さそうに見えますが、まったくの逆効果です。かえって対立が激化し、取り返しのつかない断絶を生んでしまう危険性があるのです。組織として上手くやっていくには、あえて一歩下がり、相手のいない場所で検討したほうが解決の糸口をつかみやすいものです。

《コミュニケーション(対話する)の重要性》
組織が肥大化すると、冒頭に述べた通り、効率化のために機能ごとに組織を細分化するのが一般的です。そうすることで複雑だった機能を単純化できるので効率化に結び付きます。
しかし一方で、外への関心が薄れて内向きとなり、狭い範囲で同質化することになって異質な情報が減り、ある意味独りよがりの考え方に偏ってしまします。複雑さに対応するために細分化したはずが、細分化することで複雑さに対応できなくなってしまうという面も起こり得るのです。
部門間の壁を越えるためには、対話することが必要不可欠です。組織や専門性にこだわらず、オープンに対話するようにしなくてはなりません。利害や感情、知識、先入観などに囚われない素直な心で、話し合うことが大切なのです。
対話は、あるテーマについて、いっしょに知恵を絞って探究し理解することを目的とします。お互い対等な立場で、相手のことを尊重し、衆知を集めて広く深く考えるのです対話がうまくいくためのポイントをあげてみます。
①多様性(ダイバーシティ)
②主体性(サブジェクティビティ)
③傾聴(リスニング)
④質問(クエスチョン)
経営トップや経営陣には、部分最適ではなく全体最適を意識して考動することが求められています。
コミュニケーションの重要性を再認識し、コミュニケーションの場の設定やツールの検討等、「風通しの良い組織づくり・職場環境の整備」に取り組むことも経営者・経営陣の重要な役割だと思います。

投稿者プロフィール

矢野 覚
矢野 覚
LINK財務経営研究所 代表 
1982年 4月 国民金融公庫入庫
1993年 4月 公益法人日本生産性本部経営コンサルタント養成講座派遣
2015年 3月 株式会社日本政策金融公庫退職
2015年10月 株式会社山口経営サポート(認定支援機関)入社
2019年12月 同社 退社
2020年 2月 LINK財務経営研究所 設立
2022年 5月 健康経営アドバイザー
2022年 7月 ドリームゲートアドバイザー
中小企業金融の現場で、33年間、政府系金融機関の担当者~支店長として事業資金融資の審査(与信判断)や企業再生支援、債権回収業務に従事するとともにそれに関する稟議書の起案・決裁に携わっていました。
その後、中小企業の財務責任者として資金調達、経営改善業務をお手伝いさせていただき、短期間で赤字体質の中小企業を黒字体質に改善するコトができました。
こうした経験を活かして、「財務の力でヒトとカイシャを元気にする」ために、小規模事業者・中小企業の皆さまのお役に立ちたいと考えています。

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