第28回 階層別マネジメント

マネジメント

「こんにちは、かんれき財務経営研究所の雄蕊覚蔵です!」第28回は、「階層別マネジメント」について考えてみたいと思います。このブログは財務の視点から経営を考える目的でスタートしたのですが、「組織崩壊の予兆とその防ぎ方」で述べたとおり、企業を維持・発展させるために最も重要な要素は「人を動かす」ことだと最近、身に染みて感じるようになりました。そこで、今回はマネジメントにフォーカスして考えてみます。

《経営者の経営感覚や管理層の管理思考とのズレ》
雄蕊が日常の業務に携わるなかで、接する経営者の方や管理層の方々と議論する場面においてそういった方々と意識や感覚等が噛み合っていないなと感じる場面が増えてきました。決して雄蕊の考えが正しく、それを押し付ける気は毛頭ありませんが、もう一度「経営」「管理」「マネジメント」について自分なりに整理してみようと思うようになりました。そういう意味では、第26回、第27回の続編ということになります。

《マネジメントといえばドラッカー》
ピーター・F・ドラッカー著:組織管理論手引書『マネジメント』(日本語版1974年ダイヤモンド社より発行)は、マネジメントの世界では「バイブル」だと思います。
その著書の中で、ドラッカーは「マネジメントとは組織に成果を挙げさせるための道具、機能、役割である」と説いています。
つまり、単なる組織の管理・経営だけでなく「成果を上げるため」という視点が加わっていることがポイントで、マネジメントとは具体的に目標を立て、それを実現するために経営資源を効率よく活用すること、リスク管理等を行うことだと述べているのです。単なる管理や経営の枠を超え、組織全体が具体的な目標を達成できるよう多角的な観点から尽力することが、ドラッカーのいうマネジメントなのです。

マネジメントの目的
マネジメントの目的は、「設定した目標に沿って組織を運営すること」です。
マネジメントの実現のためには、組織にとってプラスになる目標をたてる必要があります。そしてその目標を効率的に達成することこそが、マネジメント最大の目的です。そのため目標達成に向け方向を指し示すだけでなく、組織を具体的に運営することが必要です。

マネジメントの役割
ドラッカーの提示するマネジメントの役割は、以下の3つです。
【自らの組織に特有の使命を果たす】
マネジメントの役割の1つ目は、自分たちの組織に特有の使命を果たすことです。組織や会社によって、今抱えている課題はさまざまです。
こうしたそれぞれの組織特有の問題を解決するのが、マネジメントの使命です。使命を果たす具体的な方法は組織によって異なりますが、マネジメントをおこなう人は使命を果たすことを意識した具体案を出す必要があるでしょう。

【仕事を通じて働く人を生かす】
2つ目は、組織のなかで働く人の力を最大限に活かすことです。組織に属する人材は、貴重な経営資源のひとつです。不適切なマネジメントにより貴重な人材が力を発揮できない環境で働いていることは、組織にとって大きな損失に繋がります。
また、適切な環境を与えることで組織のなかで働く人が仕事に対してやりがいを見出す手伝いをすることも重要な役割です。仕事による自己実現に成功すれば、組織のなかで働く人のモチベーションもさらに上がることになります。

【社会の問題について貢献する】
3つ目は、自らの経済活動により生じた副産物がどのように社会に影響を与えているかを知り、それを改善することによって社会貢献につなげることです。プロフェッショナルは影響を知りながら害をなしてはならず、利益を出すことを重視するだけでは、周囲からの信頼を失ってしまいます。企業に課せられた社会的責任を果たすため、社会の問題に自分の組織が与えている影響を十分に理解し、社会貢献できる選択肢を選ばなければいけません。

マネジメントの具体例
マネジメント業務は、組織の目標、具体的な仕事の進捗等を管理することです。そしてそのなかで、最も大切なのは目標を適切に管理するための組織づくりです。適切な人材を配置し、誰をどんな仕事に就かせれば最も効率的に目標を達成できるのか、判断することに力を入れる必要があります。
具体的には、以下のような行動を起こす必要があります。
1 組織の利益となる目標の設定
2 目標達成に向けた進捗の把握
3 目標達成への組織づくり
4 部下への適切な評価
5 部下とのコミュニケーション
6 部下への動機づけ
7 目標達成度の評価
8 評価に応じたフィードバック

マネジメント階層
マネジメントには、大きく分けて3つの階層があります。
1 トップマネジメント(経営者層)
2 ミドルマネジメント(中間管理者層)
3 ロワーマネジメント(下級管理者層)
同じマネジメントでも、それぞれのポジションで求められている役割やスキルは異なります。

トップマネジメント(経営者層)
トップマネジメントとは、経営のトップリーダーと呼ばれるポジションについている人のことです。トップマネジメントとして必要なのは、会社全体を包括的に分析し最適な目標を設定する力です。また、組織全体の運営や戦略についての基本方針の決定など、会社全体のことを考えて判断しなければならないことも多くあります。
経営者、というとすべて一人で判断しているように思われがちですが、会社全体を冷静に分析して判断するにはほかのマネジメント職の人と連携することが大切です。
その主な役割を列挙すると以下のとおりです。
・組織の戦略や方針等を定める
・理念・ビジョンを定める
・組織体制の構築
・リクス管理を行う
・ステークホルダーとの交渉や関係維持

ミドルマネジメント(中間管理者層)
ミドルマネジメントとは、1部門や1つの課をまとめる、トップマネジメントとロワーマネジメントの中間の層です。トップマネジメントがスムーズに業務を遂行できるようサポートしつつ、ロワーマネジメントがしっかり仕事を進めているか監督しなければいけません。議論の板挟みになることも少なくありません。
ミドルマネジメントに最も必要なことは、総合的に全ての業務をこなすマルチタスクスキルの高さです。ミドルマネジメントはトップマネジメントより責任の重圧は下がりますが、非常に本当に高いスキルが求められます。
・膨大な情報を理解しながら総合的に意思決定するスキル
・どんな人にも対応できるコミュニケーションスキル
・全ての業務においての知識や経験のスキル

これら全てをそつなくこなすことができれば、優秀なミドルマネジメントを行うことができますが、これらのスキルを身に付けるためには、果てしない程の業務をこなすしかありません。そのため、悩みやストレスでうつ病になり、退職するミドルマネージャーの人も少なくありません。自分は打たれ強いから大丈夫と思い込むのではなく、自分なりのメンタルケアの方法を考えておくことが大切です。

ミドルマネジメントの主な業務
【情報】
トップマネジメントが定めた目標・メッセージを咀嚼して適切に部下に伝達する必要があります。
また、ロワーマネジメントが収集してきた情報を分析し、その情報を分かりやすくトップマネジメント層に伝える情報整理の能力も不可欠です。そのためには、計画的な情報の収集・分析・伝達のスキルを向上させなければいけません。

【業務遂行】
業務遂行に関して責任を問われます。トップマネジメントは会社全体の業務遂行を管理しますが、ミドルマネジメントはより具体的な業務の進捗管理を行わなければなりません。効果的・効率的に業務が回るよう業務改善に取り組むことも必要です。
さらに、ロワーマネジメントの監督下にある仕事の進捗で問題が発生した場合は、適切な指示を出し問題を早く解決する必要があります。

【対人関係】
部下の特徴を活かした指導や育成をおこなう役割を担っています。ロワーマネジメントへの指導だけでなく、同じチームのメンバー等、各自の強みを活かした人員配置、業務量の適切な配分等も考えなくてはなりません。
また、部下等に対して仕事のモチベーションを上げるため、動機づけをおこなう必要があります。このプロジェクトが成功すれば昇進できる、といったわかりやすいものから、積極的に褒め言葉を口にするなど、モチベーションを上げる方法も部下によって変えなければいけません。

【コンプライアンス】
組織の管理をおこなう者として、労働関係の法規を守り、業務に関係する法律を理解する必要があります。また、業務上得た情報を外に漏らさないなど、コンプライアンス面でも周りに悪影響を与えないよう真剣に向き合わなければいけません。

ロワーマネジメント(監督者層)
ロワーマネジメント(監督者層)とは、現場で働く社員たちのリーダーとしてマネジメントする人のことです。具体的には、チームやグループのリーダー、現場監督などがロワーマネジメントに当たります。ロワーマネジメントの基本的な役割は、ミドルマネジメントなどが決めた目標に沿って現場が正しく動けているか監督し業務の進捗を確認することです。そしてなにか問題が起きた場合は、ミドルマネジメントに連絡し速やかに問題解決に努めます。
主な役割を以下に列挙します。
・社員の直接的な指導
・社員の育成
・社員の管理

《マネジメントとは、組織の成果を上げるためのツール》
マネジメントを組織経営のツールとして捉えることができます。そのフレームワークの1つとしてPDCAが一般的です。PDCAとは、Plan(計画)⇒Do(実行)⇒Check(評価)⇒Action(改善)の頭文字を取ったもので、このサイクルを繰り返し行うことで、継続的な業務の改善を促す技法です。「PDCAサイクル」という言い方もありますが、これはPDCAの最後のステップ、Action(改善)が終了したら、また最初のPlan(計画)に戻って循環させることを意味するものです。
具体的にはPDCAを回すことで、組織をスパイラルアップさせます。PDCAの本質を理解し上手に回すことができれば、マネジメントの役割を十分に果たせます。

PDCAを効果的に回すポイントは以下の4つです。
1 目標は数値で、計画は具体的に詳細に策定する
2 計画通りに実行する
3 無理のない計画にする
4 定期的に評価・確認する

雄蕊は、このPDCAにG(ゴール:到達点、目的)を加えてGPDCAを推奨しています。
雄蕊作成の概念図を載せておきます。

 

《経営感覚、管理思考にズレが生じる原因》
経営者や管理層が、PDCAを理解し、上手に活用できていないことが、経営者等との議論するなかでズレが生じる原因なのかもしれません。
具体的には、経営者は、「アクセル目利き力」旺盛なので「あれもやりたい、これもやりたい」とPPPP型に陥ってしまっており、新規事業のプランばかりに意識が向いて、一所懸命にプランを練っても結果的に絵に描いた餅で終わってしまう可能性が高いと感じています。また、管理層のなかには、プレーイングマネージャーとして、現場業務に関わりたい意識が強く、DDDD型のイメージでPやCがなく、マネージャーとしての役割が空回りして結果が出せていないことではないかと思います。
マネジメントを含め、「経営する」「管理する」ことのフレームワーク(枠組み)を身につけることが必要だと感じています。

《ドラッカーから学ぶマネジメントで大切なこと》
ドラッカーから学ぶマネジメントでもっとも大切なことは、「人は経営資源のマネジメント」。多くの企業では対人マネジメントの機能不全に頭を抱えています。それは、「ヒトの存在の軽視」「ポジションパワーでのヒトのコントロール」に起因していると考えられます。ドラッカーは、動機付けられた部下自身の自己統制によってマネジメントを進めていくことが、機能不全を解消する唯一の解決策だと指摘しています。

人を牽引する階層は違っても、マネジメントを行う人は全員、組織の中で個人が最大限に力を発揮できるような環境作りを心がけることが必要なのだと思います。

投稿者プロフィール

矢野 覚
矢野 覚
LINK財務経営研究所 代表 
1982年 4月 国民金融公庫入庫
1993年 4月 公益法人日本生産性本部経営コンサルタント養成講座派遣
2015年 3月 株式会社日本政策金融公庫退職
2015年10月 株式会社山口経営サポート(認定支援機関)入社
2019年12月 同社 退社
2020年 2月 LINK財務経営研究所 設立
2022年 5月 健康経営アドバイザー
2022年 7月 ドリームゲートアドバイザー
中小企業金融の現場で、33年間、政府系金融機関の担当者~支店長として事業資金融資の審査(与信判断)や企業再生支援、債権回収業務に従事するとともにそれに関する稟議書の起案・決裁に携わっていました。
その後、中小企業の財務責任者として資金調達、経営改善業務をお手伝いさせていただき、短期間で赤字体質の中小企業を黒字体質に改善するコトができました。
こうした経験を活かして、「財務の力でヒトとカイシャを元気にする」ために、小規模事業者・中小企業の皆さまのお役に立ちたいと考えています。

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