第44回 ツナグための「報・連・相」

スキルアップ

「こんにちは、かんれき財務経営研究所の雄蕊覚蔵です!」第44回は、『ツナグための「報・連・相」』と題して、組織運営上の円滑なコミュニケーション、情報の共有化、連携について考えます。

雄蕊が関与している中小企業で管理者研修を実施することになったと前回のブログでお話しました。その時は、管理者等、個人に必要な能力について述べましたが、今回は、その続編として、組織運営上必要なコミュニケーション等、情報の共有化、各部・各部署間等の連携について、その必要性を考えてみます。

《「報・連・相」の定義と目的》
円滑な組織運営を行ううえで、「情報の共有化」は欠かせない要素であり、仕事を進めるうえで「動脈」と言われている「報・連・相(報告・連絡・相談)」は、情報共有を行うための重要な手段(ツール)です。その血流が滞りなくスムーズに流れることで、健全な組織運営を行うことが出来ます。逆に「報・連・相」がうまくいっていない組織は動脈硬化に陥り、組織運営上で大きなトラブルを引き起こす危険性を孕んでいるということです。

適時適正な報告により組織を運営する経営者等の経営陣は、経営状態を逐次・的確に現場の状況を把握し、新たな事業展開等を仕掛けることが出来る。
遅滞なく連絡が行き届くことで無駄が削減され、効率的に業務が遂行される。
こまめな相談があることでいち早く問題を解決することが出来る。
このように「報・連・相」による情報共有は組織運営にとって不可欠な要素なのです。
組織運営に関わっている経営陣、管理者、現場スタッフ、誰もが「報・連・相」の重要性、必要性については認識していると思うのですが、現場ではスムーズな情報共有が出来ていないと感じています。「報・連・相」は、それぞれ難しい事ではないと思われるのですが、「報・連・相」の仕組みが機能していない場合や、人間関係によって阻害されている場合等、何故、うまく機能していないのか、どうすればスムーズな情報共有が出来るのかを考えなければなりません。

「報・連・相」とは、ご承知のとおり報告、連絡、相談の頭を取った略語で、ビジネスにおけるコミュニケーションの基本です。まずは、これら3つのキーワード(報告・連絡・相談)を定義することから始めてみます。

1 報告の定義:仕事の進捗具合や結果について上司や先輩等に伝えること
一般的には、上司からの指示・命令・依頼等に対して、部下が状況報告・結果を共有する意味で使われます。上司からの指示・命令・依頼等に対して、依頼された事柄に着手し、完了するまでの間に、その進捗状況、途中経過を報告したり、完了報告をしたり、結果報告をしたり、1つの指示等に対しても報告する場面は数多くあります。
そのほか、相談をしたことに対する結果報告、会議報告、研修報告等、報告する種類も数多くあります。報告とはある種、義務的なコミュニケーションと言えるかもしれません。

報告は、仕事の進捗具合や結果について上司や先輩等に伝えること、上司と部下の相互間で情報共有することです。情報共有が出来ることにより、組織が目指すべき方向に向かって進んでいるか、隘路はないか、ミスはないか、計画の進捗はどうか等を判断する材料となり、状況に合わせて計画の修正や改善を行なうことが出来ます。報告の際は事実の報告と同時に今後の見通しや、現状での成果や課題を踏まえて行う事が効果的です。
ミス等のネガティブな情報は、できれば隠しておきたいと思うのが心情です。しかしながら、リスク回避の観点から考えると、どんなに小さくてもミス等のネガティブな情報こそ遅滞なく正確に報告することが重要です。報告が遅れると、小さな火が大きな火事に拡がってしまう危険があります。

報告は上司が判断する材料として部下から自発的に情報伝達するもので、指示に対する業務の相互共有、相互認識を目的とし、スムーズに業務を進めながら問題の発見や回避をするための行為です。
報告を目的に沿って的確に行うことで、業務への取り組み姿勢を評価したり、意思疎通の機会が増えたりすることで上司と部下間の信頼度のアップにも繋がります。
また、上司としては部下がミスや問題を隠していないかなどを確認する機会でもあり、それによって今後起こり得る問題を回避するという目的もあります。信頼関係の構築や仕事の充実、問題の回避等、報告がもたらす効果はとても重要です。
そのため報告をしやすい仕組みや環境づくり、重要性の教育を徹底することが重要であると言えます。

2 連絡の定義:職場の上下関係に拘らず、仕事の情報や今後の予定を他者(関係者・上司等)に発信すること
関係者全員に事実を周知する意味で使われます。大事なのは、事実のみを伝えることで自分の意見などは必要ありません。
誰もが情報を知らせる側にも受け取る側にもなり、組織を管理する総務や人事などから会社全体に向けてのお知らせや、部長や部門長から所属メンバーに向けての通達など、さまざまな連絡があります。
連絡は、迅速かつ、正確に情報を伝達することが求められます。連絡には「打ち合わせ日時の連絡」や「事故やトラブルに関する連絡」等、報告よりも重要度と緊急度の度合いが幅広いことが多く、時には「関係ないかな」という思い込みで流されてしまう事もしばしば起こります。そのため連絡を行う場合には、関係部署や関係者を明確にしたり、情報の受け取りまで確認したりする必要がある場合もあります。緊急度や重要度に合わせて連絡手法や書式、情報量等の工夫も重要であり、目的に応じた適切な手段を選択することが重要となってきます。

3 相談の定義:疑問や問題が生じたときに上司や先輩、時に同僚等からアドバイスをもらうこと
相談とは、物事を決定する際に他の人に意見を求めたり、話し合いをしたりすることを意味します。ビジネスでは、経験したことがない事態に直面することは多々あります。判断を間違えると取り返しの付かないことになりかねません。そんな時に、上司や先輩、同僚などに相談することで判断材料を増やし、正しい判断ができるように相談を行います。
相談を活用するには、事前に相談する事柄を明確にし、必要に応じて資料等を準備しておくことが重要です。良いアドバイスをもらうためには、質問の内容が的確に相手に伝わらなければなりません。以下の項目に沿って情報を整理しておくことが大切です。
1 相談する事柄の現状
2 相談したい事柄をどうしたいのか
3 相談前にやったこと、それをやって改善しなかった理由等
以上の3項を明らかにすることで、相談された側は「どんな問題があってどうすればいいのか」という解決策を考えやすくなります。状況や情報を明確にして整理・準備しておくことで、相談を最大限に活用できます。

《「報・連・相」はなぜ重要なのか》
多くの企業は、仕事を1人または1社のみで完結させることは、ほぼありません。必ず、複数のステークホルダー(利害関係者)が存在します、こうした関係者とのコミュニケーションは、ほぼ「報・連・相」で成り立っています。仕事を円滑に進めるうえで、意思疎通は非常に重要なのです。意思疎通ができていないとトラブルの原因になり、ビジネスのスピードも遅くなってしまいます。
何かのトラブル等により、仕事が計画どおり進まないことがわかった時点で報連相を行わないと、対策を打つことができません。対策を打てば、事故やクレームなどトラブルの発生や採算性の悪化等にたいする対応がすみやかに出来、マイナスの結果を回避できる可能性が高まります。

「報・連・相」における留意事項》
1 事実と意見を分ける
原則として報連相は事実を正確に把握することが重要です。
意見を交えることが重要な場面も多々ありますが、この両者が混ざってしまうことで事実を歪曲してしまう可能性があります。そうすると正確な判断が行えず、後々大きなトラブルを引き起こすきっかけになってしまうため、きちんと切り分けてアウトプットすることが重要なのです。

2 適切なタイミングで行う
「報・連・相」受ける側も自分の業務に忙殺されている事が想定されます。そのため報連相を行う際にはどのくらいの時間を要し、いま行って良いのかを確認する必要があります。
加えてその状況に合わせて口頭で行うべきかメール、書面で行うべきかを判断することも重要です。
また「報・連・相」に抜け漏れが起こらないよう、実施のタイミングをルール化するなどの仕組み作りも有効と言えます。

3 ミスが起こった時ほど迅速に報告を受ける
業務が問題なく進行していれば、「報・連・相」が漏れても大事には至り辛いものです。しかし小さくとも問題が起こった際には、後々の大きなリスクにつながる可能性があります。そのためミスや小さな違和感は、例え話し辛くとも報連相させることを常態化する必要があります。
「報・連・相」を行う際のポイントは、上司などの相手に伝えるべきことを簡潔に、結論から話すことです。
起きた出来事をダラダラと伝えてしまうと、結論を聞くのが最後になり、余分な情報も入ってしまうため、話の要点が分かりづらくなってしまいます。
まず結論から話し、伝えるべきことをまとめることで、相手に話の要点が伝わりやすくなります。

「報・連・相」は、上司から部下への指示や命令から始まることが多いと思います。指示や命令の目的を理解しておかないと、相手が求めている内容ではない「報・連・相」をしてしまうことになります。報告は義務的なコミュニケーションですが、連絡と相談は自発的なコミュニケーションのため、なかなか活発に行われない可能性が高くなります。自分が今なぜそれを指示されているのか、どういう目的で行われているのかを理解することで、必要に応じた連絡、相談が活発に行われるようになると考えます。

今回は、「組織のタテをツナグ、ヨコをツナグ」ために必要なコミュニケーションの要素の1つとして「報・連・相」にフォーカスして述べさせていただきました。

最後に情報の共有化や目的認識に関する「お話」を2つ紹介します。

ある国の王様が、町中の盲目の人を集めて大きな象に触らせ、象とはどんな動物かと尋ねました。盲目の人達は、それぞれ鼻や尻尾・足・耳などの一部分だけをさわって、象の姿を思い浮かべ、ある者は大蛇のようだと答え、ある者は細い縄(なわ)のようだと答え、またある者は大きな臼(うす)のようだと答えました。こうして十人十色の答えが出ると、自分の答えこそ正しいと思い込んでいる彼らは、皆で言い争いケンカを始めてしまったのです。
集まった人たちの間で、円滑なコミュニケーションがとれて情報の共有化が図れていれば、象という動物の姿が正確に伝わったと思います。情報の共有化の重要性を認識させられる話ではないでしょうか。

旅人が、ある町外れの一本道を歩いていると、一人の男が道の脇で難しい顔をしてレンガを積んでいました。旅人は「ここでいったい何をしているのですか?」と尋ねました。「何って、見ればわかるだろう。レンガ積みに決まっているだろ。朝から晩まで、俺はここでレンガを積まなきゃいけないのさ。なんで、こんなことばかりしなければならないのか、まったくついてないね。もっと気楽にやっている奴らがいっぱいいるというのに・・・」
旅人は、さらに歩き続けました。もう少し歩くと、一生懸命レンガを積んでいる別の男に出会いました。先ほどの男のように、辛そうには見えませんでした。旅人は「ここでいったい何をしているのですか?」と尋ねました。「俺はね、ここで大きな壁を作っているんだよ。これが俺の仕事でね。この仕事のおかげで俺は家族を養っていけるんだ。ここでこうやって仕事があるから家族全員が食べて  いくことに困らない。大変だなんていったら、バチがあたるよ。」
旅人は、まだまだ歩き続けました。しばらく歩くと、別の男が活き活きと楽しそうにレンガを積んでいるのに出くわしました。「ここでいったい何をしているのですか?」旅人は興味深く尋ねました。「ああ、俺達のことかい?俺たちは、歴史に残る偉大な大聖堂を造っているんだ!ここで多くの人が祝福を受け、悲しみを払うんだぜ!素晴らしいだろう!」
この3人の男の言葉の違いは、レンガを積む目的を明確に理解していたか、否かということです。
一人目の男は単に命令を遂行しているにすぎず、二人目の男は、行動の目的を理解していない状態で、ともに自分で考えることもなく作業しているので工夫をすることは期待できません。三人目の男は、指示によって行動の目的を理解しているので、「これでいいのか」「もっといい方法はないのか」と考え自主的に行動することができると思います。

投稿者プロフィール

矢野 覚
矢野 覚
LINK財務経営研究所 代表 
1982年 4月 国民金融公庫入庫
1993年 4月 公益法人日本生産性本部経営コンサルタント養成講座派遣
2015年 3月 株式会社日本政策金融公庫退職
2015年10月 株式会社山口経営サポート(認定支援機関)入社
2019年12月 同社 退社
2020年 2月 LINK財務経営研究所 設立
2022年 5月 健康経営アドバイザー
2022年 7月 ドリームゲートアドバイザー
中小企業金融の現場で、33年間、政府系金融機関の担当者~支店長として事業資金融資の審査(与信判断)や企業再生支援、債権回収業務に従事するとともにそれに関する稟議書の起案・決裁に携わっていました。
その後、中小企業の財務責任者として資金調達、経営改善業務をお手伝いさせていただき、短期間で赤字体質の中小企業を黒字体質に改善するコトができました。
こうした経験を活かして、「財務の力でヒトとカイシャを元気にする」ために、小規模事業者・中小企業の皆さまのお役に立ちたいと考えています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました