第27回 「経営する」「管理する」とは(その2)

マネジメント

「こんにちは、かんれき財務経営研究所の雄蕊覚蔵です!」第27回は、第26回に続き、『「経営する」「管理する」とは』具体的に何をどうすることなのかついて、今回は、「管理する」ことにフォーカスして考えてみたいと思います。

《事業活動における「管理する」とは》
一定の目的や目標を効果的かつ効率的に達成するため、「ヒト」「モノ」「カネ」「ジョウホウ」といった対象(経営資源)に対して、調整・運営上の判断・操縦・指示・指導等を行う機能・方法を「管理する」ことと定義付けします。
「管理する」なかで最も重要な機能は、調整機能です。「調整する」とは、調子を整えたり、ものごとの過不足などに手を加えて、つり合いのとれた状態、正しい状態にしたりすることですが、対象が「ヒト」の場合は、リーダーシップ(指導性)、それが「モノ」や「カネ」や「ジョウホウ」の場合だとコントロール(制御)と表現されることが多く、このように言い換えてみると、分かり易くなり理解できるかもしれません。
また、「管理する」ことには、いくつかの水準(レベル)があります。最低水準(レベル)は、保存ないし現状維持をすることです。一方、最高水準(レベル)は、目的の設定や変更を含む調整で、目的や目標の達成に向けた組織運営全般に関する管理が該当します。この両者の中間的な水準(レベル)が一般的に言われる管理のことで、経営者と区別した管理者を想定することができます。この場合には、目的の設定は除外され、与えられた目的の達成に向けて現状維持以上を継続する、発展させるための調整や運営上の判断・操縦・指示・指導が主体になります。
管理する組織体が単純で小規模な場合には、管理はそれほど問題にならないので、管理者(管理主体)は管理の専門家でなくても差し支えありませんが、組織体が大規模・複雑化するようになると、管理の重要性が高まり、ある程度、管理の専門的知識がないと「管理する」ことが機能しなくなります。
管理の本質は、調整だと考えますが、管理を機能させるためには、管理に関連するすべての要因(目的、主体、対象、行動等)を体系的・秩序的に配慮する組織的思考とすべての要因を計数によって表示・計測する計数的思考が必要になります。
「管理する」ことは、この二つの思考に関連させながら、管理を一つの過程として捉え、計画→組織→統制の反復的循環活動によって営むことだともいえます。この過程をマネジメント・サイクル(管理の循環過程)と呼びます。
①目的に即した活動予定を策定する計画、
②計画を活動に展開し、活動を通して目的の有効な実現を図る仕組みとしての組織
③計画と活動実績とを比較し、その差異の原因を解明し、必要に応じて対応をとり、実績を次期の計画へフィードバックする統制

《「管理する」を機能させる》
組織体の目的活動を推進するには、「ヒト」「モノ」「カネ」「ジョウホウ」等の経営資源を調達し,それら資源を合理的に配分、活用する必要があります。そのために、諸制度 (組織、人事、財務、文書等) の整備(ルール作り)と目的活動に直接かかわる企画および評価機能の充実を図ることが必要です。

《経営管理とは?》
経営管理の定義
経営管理の定義は、企業や組織が効率的に目標を達成するために、全体の調整や総括を意図的に行う経営の手法のことです。目標達成とは、売上や利益と思われがちですが、それだけでなく人事・労務管理(社員の給与や勤怠)や財務管理(借入金等資金管理)まで把握することが経営管理です。企業活動における全体の流れを把握したうえで、調整・総括することが経営管理であると言えます。

古典的な経営管理論
経営管理論は、20世紀初頭に学問として成立させた理論であり、現代においても通用する内容です。今でも根本的な課題となっている「モチベーション」と「コミュニケーション」に着目した理論であることから、多くの経営者にとって必要な理論として注目されています。全ての企業活動は、社員のモチベーションとコミュニケーション能力なしで進めることができません。経営管理論では、企業にとっての社員に着目し個人の能力を総和した以上の生産性を実現させることを提唱しています。

《経営管理の基本は「ヒト・モノ・カネ」》
「ヒトの管理」から見る経営管理
人事労務の部分を担う「ヒトの管理」は、最もセンシティブでマネジメントが必要です。日常的な企業活動には従業員のモチベーションが必要不可欠であり、全体のパフォーマンスを大きく左右する部分です。
具体的には、人事考課制度の見直しや社内研修制度の制定、就業規則の改訂等が挙げられます。

「モノの管理」から見る経営管理
生産活動や販売活動を担う「モノの管理」は、商品や商材の質の管理や生産設備等の管理を行う部門です。
具体的には、商品の品質の見直し、運用フローの見直し、設備更新等を行うことになります。経営管理における販売活動は、品質強化から顧客満足度に繋がる経営戦略の一端として機能させることができます。

「カネの管理」から見る経営管理
財務的な視点から、「カネの管理」を担い、全社の売上や費用を管理します。商品コストや人的稼働の費用対効果等、効率的な利益確保に向けた手段を検討・実施します。資金管理や税金対策等、数字とお金に関する全ての流れを網羅します。

《管理職の役割》
管理職には、業務管理を行うと同時に上層部の意思を現場に伝え、さらに直接自分の部下を統制する責任を持っています。管理職の重要な役割は部下を統制したり、基準から外れたりしないように部下の行動を制限することだともいえます。
管理職は以下の役割を果たす必要があります。

○仕事の管理
管理職は、仕事の進捗状況を把握、管理するだけではなく、部下に仕事の指示を出すことも重要な任務です。しかし、すべての仕事に管理職が関わるのではなく、部下だけで仕事が進められるように管理職が指導することが必要です。部下に仕事を任せた場合には、進捗状況やその出来栄え等を厳しくチェックしなければなりません。

また、仕事の危機管理も管理職に必要な仕事です。
トラブルが起こったときの対処法を常に考えておくことで、実際に問題が起きてもスムーズに解決できます。もしもミスが起こった場合は、管理職は部下のミスを叱るだけでなく、「自分が責任を持つ」という姿勢を持つことが重要です。

○部下の管理や育成
管理職には、部下の仕事の管理、部下の育成という重要な役割が求められています。
部下のモチベーションを管理するための𠮟咤激励や、精神状態や健康面に気を配ることも管理職の仕事です。また、部下の成長を見据え、適切な仕事を与えて育成することも求められます。

○部署内の全体把握や管理
部署内の全体像を把握することは、進捗の遅れやミスを防ぐために必要不可欠です。
部下は怒られることを恐れ、ミスを隠蔽したり報連相が遅れて取り返しのつかない事態になったりすることも珍しくありません。
部下の仕事の進捗に目を光らせることに加え、人員配置を変えるといったミスを回避するフォローも必要な仕事です。

○チーム外の人間関係の管理
課長や部長などの管理職は、部署内の部下だけでなく、課外・部外との人間関係も知っておくことも必要です。
部下を評価する権限を持っている場合、知らない部下に対しては適切な評価ができず、評価の差が生じることで部下のモチベーションの低下につながる恐れがあるので、関係のあるメンバー全員を知ることに心がけなければなりません。

○経営理念の管理
経営者と部下の中間に位置する管理職は、経営者側の意思を部下に伝え、理解させる使命があります。
そして、組織が示す方針を達成するために、部下を同じ方向を向かせ、統率することが必要です。
たとえ受け入れがたい方針だったとしても、部下を納得させ、士気を高めることも管理職にとって重要な心得といえます。

○会社全体を把握
管理職は経営者側に立ち、会社全体の利益を上げることも考える必要があります。会社側に意見が言える立場になるため、自分の部署だけでなく、会社全体を把握することが重要です。

《管理職が大切にしなければいけないこと》
●従業員のやる気と能力を高めること
私たちは通常、他人からの管理が強ければ強いほどやる気を失っていくということです。ドラッカー氏は、ある企業のコンサルティングで、企業の幹部に「皆さんの大切な仕事は、人を訓練して育てること、人を訓練してやる気にさせることではありませんか。やる気のある訓練された従業員がいなければ、顧客に質の高いサービスを提供することはできないのです」と言ったそうです。(『企業のすべては人にはじまる』ウィリアム・ポラード著 ダイヤモンド社)
つまり、部下たちの意見を尊重して、やる気を起こさせ気持ちよく働かせるのが、上司の大切な仕事であるというのです。そのためには、部下たちの考えより自分の考えのほうが優れていると思っても、大勢に影響がないと思ったら部下たちの考えを採用せよとまで言っています。

●人を大切にする心
心理学に「返報性」という言葉があるそうです。「返報性の原理(法則)」とは、人から何かしらの施しを受けたとき、「お返しをしなくては申し訳ない」というような気持ちになるという心理作用のことです。この心理は、人間が本来持っている義理や人情のようなものかもしれません。優しくしてもらったら優しくして返す。冷たくされたら冷たくする。人間の行動は、地理的条件や経済の発展程度、政治体制等の影響を受けますが、時代・文化・国境を越えて、地球上のすべての民族に共通する人間の行動原理がこの「返報性」です。人は自分を大切にしてくれる人や組織を、また大切にしようとするのです。
この「返報性」という人間の行動原理からもわかるように、私たちの周りにある環境は、実は私たちの心の中を映し出す鏡だと思います。部下に問題があると思っている上司の方々にお伝えしたいのは、その問題の第一義的な原因はその問題を持っている部下だと思われますが、実はその問題の半分以上は、その部下の問題をどうすることも出来ない上司の側にあるということです。自分に矢印を向け、自身を見つめ直すという行為は、言うのは簡単ですが、実行するには大変な勇気がいると思います。自身に対する気付きを持つことが、真のリーダーに成長する近道だと言えます。

投稿者プロフィール

矢野 覚
矢野 覚
LINK財務経営研究所 代表 
1982年 4月 国民金融公庫入庫
1993年 4月 公益法人日本生産性本部経営コンサルタント養成講座派遣
2015年 3月 株式会社日本政策金融公庫退職
2015年10月 株式会社山口経営サポート(認定支援機関)入社
2019年12月 同社 退社
2020年 2月 LINK財務経営研究所 設立
2022年 5月 健康経営アドバイザー
2022年 7月 ドリームゲートアドバイザー
中小企業金融の現場で、33年間、政府系金融機関の担当者~支店長として事業資金融資の審査(与信判断)や企業再生支援、債権回収業務に従事するとともにそれに関する稟議書の起案・決裁に携わっていました。
その後、中小企業の財務責任者として資金調達、経営改善業務をお手伝いさせていただき、短期間で赤字体質の中小企業を黒字体質に改善するコトができました。
こうした経験を活かして、「財務の力でヒトとカイシャを元気にする」ために、小規模事業者・中小企業の皆さまのお役に立ちたいと考えています。

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