第30回 アラ還爺 雄蕊覚蔵の呟き(威風堂々)

コラム

「こんにちは、かんれき財務経営研究所の雄蕊覚蔵です!このブログにお越しいただきありがとうございます。」
2020年12月31日大晦日です。コロナで明けてコロナで暮れた一年でしたが、2020年も残すところ今日一日です。
6月のブログ開設以来、このブログにお越しいただいた方々に心から感謝申しあげます。そして、2021年も引き続きよろしくお願いします。
さて、2020年のフィナーレとなる第30回は、10回を一区切りとして継続している『アラ還爺 雄蕊覚蔵の呟き』の3回目です。今回は「威風堂々」と題して雄蕊なりの「日常生活も含めて最近、感動したことや想い巡らせていること」を記述しようと思います。

 

《コロナがもたらした?幸せのサプライズ》
2020年12月27日、雄蕊の一人娘が結婚式を挙げました。新郎新婦とそれぞれの両親(新郎の母は緊急入院で欠席されました)の合計5名だけの細やかな宴
それが…。新郎新婦と式場のスタッフ以外、誰も結婚式だとは知らされていなかったのです。当初は5月に結婚式を行う予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で来年3月に延期、足元の感染状況からそれも中止。そんな状況下で、せめて記念に写真くらいは撮っておこうということで、この日、両親揃っての写真撮影の予定だったのです。雄蕊もそのつもりで参加していました。
和装での撮影が終わり、次は洋装での撮影。式場スタッフからチャペルで撮影するのでとチャペルへ案内され、新郎の父上と3人チャペルの椅子に腰かけて撮影が始まるのを待っていました。
チャペルの正面には、プロジェクションマッピングが映し出され本物の結婚式さながらの演出が繰り広げられました。牧師さんと新郎がチャペルへ入場、リアル感のある写真撮影だと思いながら見ていると、新婦である娘が入場し、入口で「お父さん、お母さん」と手招きされて近づくと、母親がベールダウン、そして父である雄蕊は、娘と腕を組んでバージンロードを歩くことに…。それでも雄蕊は、まだ本物の結婚式だとは気付かなかった。なんてリアルな写真撮影なんだと相変わらず呑気なことを思いながら、加えて「歩くのが早い」と娘に注意を受けながら夢のバージンロードを歩いていくとその先で新郎が待ち構えてバトンタッチ。そのまま結婚式へ…。結局、何が起きているのか理解できないまま結婚式は終了。そして御食事会、これも披露宴同様たっぷり2時間かけたフルコースのお料理。式場スタッフから「20年以上、結婚のお世話をしているが、こんなサプライズは初めてだ」と笑って教えてくれた。娘夫婦が我々両親に仕掛けてくれたサプライズウエディング。コロナがなければ普通に結婚式を挙げていたであろう。アットホームな結婚式に新郎の父とともに「威風堂々」親としての威厳を保ちながら、それぞれの息子・娘が両親に準備してくれた涙涙の嬉しいサプライズでした。こんなことを企む娘夫婦に感謝、感激!!

《5年目のリファイナンス》
2016年6月、雄蕊が関わることになった病院は、経営状況の悪化から金融機関に金融支援をお願いし応じてもらいました。それから4年6か月経った2020年12月、債権者である3金融機関が、リファイナンス(借替え)に応じてくれることになり、この病院の金融機関からの借入金は「正常債権」へ上方遷移することができました。暗くて長いトンネルからやっとの思いで抜け出すことに成功したのです。
雄蕊にとって病院経営に関与したこの5年間には感慨深いものがあります。院長を始め、現場スタッフ9名に取り囲まれて糾弾されたり、労働上の問題に巻き込まれたり、メンタルタフネス、フィジカルタフネスともに備わってなければとっくに投げ出していたかもしれません。

雄蕊を駆り立てたものは、病床にいる高齢の患者さまや健気に働く現場スタッフの姿、そして何より緊急性・重要性の高い損益構造の改善に対する「威風堂々」とした財務の専門家の血が騒いだことだと思っています(医療法人の業績は、毎年決算後に決算届として都道府県に提出されています。閲覧しようと思えば誰でも閲覧することができます)。
しかし、このサクセスストーリーの主人公は、雄蕊ではありません。医療現場で昼夜を問わず24時間365日医療に携わっている医師をはじめとした医療従事者なのです。この方々の協力なくして成し遂げることはできませんでした。医師を始めとした医療従事者の方々に感謝、感激!!

《病院運営の難しさ》
最後は、少しネガティブな面もある(?)話。雄蕊が医療機関経営(運営)に関わらせていただいて、まもなく5年が経過します。医療機関は一般の営利組織とは異なり、収益の最大化だけでなく適切な医療を提供し、医療の質を高めていくという社会的なミッションがあります。そのため、病院組織は専門職集団であり、高いプロフェッショナリズムや社会貢献といった志の高い人材が集まっています。こうした医療従事者は一般的に組織への帰属意識が低く、病院経営として重要な一貫性を持ったビジョンを共有することが困難だと現場でしみじみと感じています。
ある金融機関の役付の方から「金融機関から医療機関に経営の専門家として行員を派遣しているが、挫折してしまう。組織風土の違いか?」と質問されたことがあります。雄蕊自身、数字とお金のコントロールのセオリーは、業種業態に関わらず万物共通ですから、医療現場の特殊性を気にする必要もなく、与えられたミッション完遂に動けばよかったのですが、組織と人の問題に関しては、医療資格者と共通認識を持つことが困難です。現場で医療従事者(医療資格者)と組織や人に関する打ち合わせをさせていただく機会が多いのですが、なかなか話が噛み合わず、「これ以上、自分が関与してもいい方向に向かないのではないか?」「この医療機関に自分は必要なのだろうか?」と自問自答する場面も多々あります。医療現場のスタッフが長続きせず、辞めていくのも理解できると思うこともあります。それでも、患者様や現場スタッフの姿をみていると、上から目線になるかもしれませんが、できることは助けてあげたいというモチベーションが雄蕊の背中を押し、この医療機関での業務を継続していると思っています。

ここで経営(運営)が難しいと感じる要因について考えてみます。医療機関には大きく分けて次の3つの特性があります。
●医療行為の不確実性
医療が必要となる状態は人それぞれであり、提供されるサービスは個別性が高いという特徴があります。
●情報の非対称性
医療従事者と患者、特に医師と患者の間の情報には格差があります。そこに情報の非対称性が生まれるため、患者は医療従事者に依存せざる負えない状況が作られてしまいます。
●専門職の集団
専門性の集約型産業である病院組織は、医師をはじめ、看護師や薬剤師、放射線技師などプロフェッショナルの集団です。こうした専門家は、自分の興味に対する専門指向が強く、組織に対する帰属意識が一般的に希薄であり、患者との関係性を優先します。こうした特性があるため、組織のトップダウンによる指揮命令だけで管理することは困難であり、金銭的なインセンティブではなく、ミッションの共感や自己研鑽の環境を整えることで優れた組織を構築することができるのかもしれません。

病院組織の特殊性から、ただ 単に理念や理想的な計画を打ち出すだけでは病院の求められる価値を上げることはできないと感じています。その中で、患者や職員といったステークホルダーの満足度を高めながら病院経営として短期収益や中長期の戦略を築かなければなりません。
医療現場には細分化された高い専門性があり、セクショナリズムの問題を抱えやすい背景もあります。また医療は同じ行為でも個別性が高いため、個々により結果が異なる不確実性をともなう行為でもあります。病院組織の中では、経営者の意思が従業員に伝わりにくく、またルールの整備も不十分です。このような状況では、たとえマニュアルを整えられたとしても不測事態の多い医療現場では管理の限界があり、また従業員を正確にモニタリングができたとしてもコストが非常にかかります。

このような問題を解決する方法として、企業文化が現場の従業員に複雑な意思決定を任せられるような共通基盤になると考察した論文をネットで見つけました。病院組織に優れた企業文化が存在すると、集権的な組織や完備なシステムを作り上げるよりも、組織の一体感と従業員の自律性を生み、様々な調整コストを抑える可能性が高まると書かれていました。 
さらに企業文化の果たす役割は、
①同質性の役割
②慣習としての役割(調整の機能)
③不測の事態に対する判断の役割(協調の機能) 
だとありました。

ここでは、「同質性の役割」について雄蕊なりの理解を述べさせていただきます。
●企業文化が組織の価値観を明示することで、従業員の採用においてはスクリーニング効果が期待でき、従業員が採用される前に組織の価値観を知ることで、合わない文化であれば自己淘汰されるため、自然な経過として組織の同質性が強まる仕組みができる。
●企業文化が成熟する過程では、組織が従業員とともに小さな成功を積み重ねることで文化は安定し支持される。中小規模の病院において従業員に成功体験を実現することはなかなか容易なことではないが、経営者と従業員がともに信頼関係を築くためには、小さな成功を積み重ねることが不可欠である。
●医療機関では、経営者も従業員と一丸となって現場に立たなければならない環境にあり、経営者も従業員の一人として多くの時間を共有し密接にかかわることができる。経営者自らが手本となり良いことも悪いことも従業員と共有できるため、オープンなコミュニケーションがとりやすく強い信頼関係を築きやすい。こうした環境は、密度の高い関係性になるため異文化に対して排他的になり、組織の成長に必要な多様性を失う可能性があるものの、同質性を強めるために企業文化の成り立ちには重要な過程である。
●企業文化の役割のひとつである同質性が強ければ、経営者の意思が伝わりやすく現場に権限委譲がすみやかに促され、経営者の目が届かない現場でも従業員に価値観を共有することができる。あたかも経営者の分身が自発性をもって現場で行動することによって、経営者の価値観を保ちながら現場の様々な意思決定を従業員の判断に任せることができる。

一般的な企業に比べて意思決定が複雑で集権化が難しい病院組織では、どんなに素晴らしい経営理念を掲げ、従業員を鼓舞したとしても、それが現場レベルで実行されなければ全く意味がない。継続的な収益を保ち、患者や従業員などのステークホルダーが満足できる理想的な経営環境を整えるには、病院組織における企業文化の醸成が重要であると今回の論文を読んで納得した次第です。

「病院経営(運営)の本質」は、トップダウンで統制を図ることではなく、現場に任せる分権化のしくみを取り入れることです。
企業文化を醸成することで病院の方針を明確にし、自律し自立した現場のスタッフにその運営を任せることが重要だと気付きました。医療現場のマネジメントを医療上の資格のない者が行おうとしても、難しい面が多々あるのは当たり前でした。ならば無理矢理に型にはめ込もうとするのではなく、その部分に関しては、医療資格者に担ってもらう。そして、医療に関して素人である経営管理部門の管理者は、24時間365日医療を提供し続ける医療従事者の方々に感謝と感激の気持ちを持ちながら、「威風堂々」と黒子として万物共通のバックヤード(管理部門)を固め、医療従事者が働きやすい環境作りに専念する。この仕組みを構築することで組織がより機能的に動くと考えられます。雄蕊も実際の現場でこの仕組みを考え、運用してみようと思います。また、成果報告させていただきます。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。来年もよろしくお願いします。

投稿者プロフィール

矢野 覚
矢野 覚
LINK財務経営研究所 代表 
1982年 4月 国民金融公庫入庫
1993年 4月 公益法人日本生産性本部経営コンサルタント養成講座派遣
2015年 3月 株式会社日本政策金融公庫退職
2015年10月 株式会社山口経営サポート(認定支援機関)入社
2019年12月 同社 退社
2020年 2月 LINK財務経営研究所 設立
2022年 5月 健康経営アドバイザー
2022年 7月 ドリームゲートアドバイザー
中小企業金融の現場で、33年間、政府系金融機関の担当者~支店長として事業資金融資の審査(与信判断)や企業再生支援、債権回収業務に従事するとともにそれに関する稟議書の起案・決裁に携わっていました。
その後、中小企業の財務責任者として資金調達、経営改善業務をお手伝いさせていただき、短期間で赤字体質の中小企業を黒字体質に改善するコトができました。
こうした経験を活かして、「財務の力でヒトとカイシャを元気にする」ために、小規模事業者・中小企業の皆さまのお役に立ちたいと考えています。

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