「こんにちは、かんれき財務経営研究所の雄蕊覚蔵です!」第68回は「真剣勝負」と題して、経営するうえでの経営者の覚悟を、雄蕊なりの考え方に基づいてお伝えしようと思います。
企業経営は、少々大袈裟に聞こえるかもしれませんが、命懸けの真剣勝負です。金融機関在籍時代に数多くの事業閉鎖(倒産)に追い込まれた企業も見てきた雄蕊にとっては、やはりそう思えるのです。
真剣勝負である以上、常にその勝負に勝つという姿勢で臨まなければなりません。
しかし、勝ちにこだわればこだわるほど、さまざまな思いもよらない困難や反対勢力の圧力等の障害が襲いかかってきます。しかし、そこでひるんでしまったり、信念を曲げてしまったりといった妥協をしてはいけません。こうした困難や圧力をはねのけていく力が必要なのです。その力は経営者のもつ不撓不屈の精神力です。言い換えれば闘争心です。どんなにつらく苦しくても、「絶対に負けない、必ずやり遂げてみせる」という激しい闘志を燃やさなければならないのです。
経営するためには、常に意思決定(決断)する必要があります。経営者の最も重要な役割は、適時適正に意思決定(決断)し、企業の方向性を決め、従業員を牽引することです。
困ったことに意思決定(決断)するべき課題のほとんどは悩ましいことばかりです。簡単に意思決定(決断)できる内容ではないことが多いと思います。それでも、経営者としては明確な意思決定(決断)が求められています。
どうしても周囲の人から嫌われまいとして言うべきことをはっきり言えなかったり、正しいことを正しく貫けなかったりしてしまいがちですが、健全な経営を実現するためには、正しい意思決定(決断)をしなければなりません。
ときには、『泣いて馬謖(ばしょく)を斬(き)る』(蜀(しょく)の軍師 諸葛亮孔明(しょかつりょうこうめい)が、重用していた臣下の馬謖(ばしょく)が命に従わず魏(ぎ)に大敗したため、泣いて斬罪に処したという故事から、規律を保つためには、たとえ愛する者であっても、違反者は厳しく処分することのたとえ)ような決断を迫られる場面もあります。
そのような決断の場面では、勇気というものが必要となるのです。ここで求められる勇気とは、自らの信念を貫きながらも、節度があり、怖さを知った人が場数を踏むことによって身につけた真の勇気です。
中小企業庁発行の「小規模事業者支援ハンドブック」に「成長発展のみならず、事業の持続的発展(Sustainable Developmennt)を支援する」という一説があります。現在では、この持続的発展という単語が多く使われるようになり、国連が提唱するSDGsともリンクしています。
人口減少・少子高齢化で国内市場が縮小する中でも、懸命に努力して、地域の需要やニーズに対応し販路開拓に取り組んでいる。例えて言うならば、「下りのエスカレーターで、いつも同じ位置に留まろうとしている姿」すなわち、会社の規模や組織体を現状のまま維持するだけでも、常に努力し続けなければならないという厳しい現実に立ち向かう姿です。
こうした厳しい環境のなかにおいては、特に企業の将来を誰かが保証してくれるものでもありません。たとえ今、企業の業績がすばらしいものであったとしても、現在の姿は過去の努力の結果であって、将来がどうなるかは誰にも予測できないのです。
将来にわたって、持続可能なすばらしい企業にしていくためには、経営者や従業員の一人ひとりが、それぞれの持ち場・立場で自分たちの果たすべき役割を精一杯やり遂げていくしかないのです。
誰かがやってくれるだろうという考え方で人に頼ったり、人にしてもらうことを期待したりするのではなく、まず自分自身の果すべき役割を認識し、自ら努力してやり遂げるという姿勢をもたなければなりません。「他力本願」「依存体質」から脱却し、「当事者意識」の高揚と「自力本願」を本分とすべしです。
経営者には、「有言実行」が不可欠です。経営者は自身のやりたいこと、目指す方向性を従業員やステークホルダーに対してしっかりコミットメントする必要があります。内に秘めたる闘志では、誰からの理解も得られず、従業員さえもついてこなくなります。
まず経営者自身がしっかり旗を立てて「目指すべき方向性は○○です」と周囲に宣言することで、まわりと自分の両方からプレッシャーをかけ、自分自身を奮い立たせるとともに、自らを追い込んでいくことによって、目指すべき経営目標の達成がより確実となるのです。
夢や願望であったものを実現させるためには、真剣に何度も何度も頭の中でシミュレーションを繰り返すことが必要です。シミュレーションを繰り返すことで次第にやれるという自信が生まれてきます。
こうした状態になるまで深く考え抜いていかなければ、前例のない仕事や、創造的な仕事、いくつもの壁が立ちはだかっているような困難な仕事をやり遂げることはできません。
成功するかしないかは、その人のもっている熱意と執念に強く関わっています。何をやっても成功しない人には熱意と執念が欠けているのです。
何かを成し遂げたいときには、目標達成に向かって粘り強く最後まで諦めずにやり抜くということが必要なのです。
さて、真剣勝負に勝つためにはどうすればよいのでしょうか。
勝負に勝つためには、勝つ方法を知ることです。勝負において、一番勝てる経営者は、勝ち慣れている経営者です。勝つことに慣れている経営者には、勝ちパターンが出来ているのです。つまり、勝つことが出来る経営者は、「自社の勝利パターンを持っていて、それを実践で披露することが出来る経営者」です。儲かっている企業には、儲けるパターンが出来上がっているのです。
では、勝ちパターンを構築するには、どうすれば良いのでしょうか。
勝つためには、まず自社をよく知ることが必要です。「身の丈経営」という言葉がありますが、その言葉には「勝つためには自社を知ることがすごく大事なことだ」という意味が含まれています。
つまり、身の丈に合った経営が出来れば自社の強みを活かせる自社の土俵を知ることが出来るからです。自社分析をして強み・弱み(得意分野・不得意分野)を明確にし、自社の土俵を見つけることが、勝つためには大事なことなのです。付け加えると、戦いがうまい企業は共通して自社の土俵に相手を引きずり込むのが上手いともいえます。
自社を分析し、自社がこんなことに向いているのではないかと仮定した後は、勝ちパターンを経営者なりに見つけること。そして、勝ちパターンを必勝パターンにすることが大事です。
どんな経営者でも、この状況になったら絶対に勝てるという状況があるものですが、それを実戦レベルに育て上げ、いつでも安定して実行できるようにする。必勝パターンを持っていれば、「ここまで行けば、大丈夫だ。」という安心感が生まれ、それが自信につながります。
自社の得意分野や、どういったことが得意なのか?それを見つけるにはどうすれば良いのでしょうか?
興味のある分野や、これは真似してみたいなと思う成功企業や経営者に出会うことにより、頭の中にさまざまな選択肢が生まれてくるのではないかと思います。
その選択肢を片っ端からやってみて、自社に合っているなと思うものがあれば、深堀していけば良いのではないかと思います。
一方で、勝負に勝つためには、敵を知ることがすごく大事になります。敵を知り己を知れば、百戦危うからずという言葉があるぐらい敵を知ることってすごく大事になります。
戦いに負ける理由の中に、敵を知らないことは必ず入ってきます。敵を知ることは、勝つうえでの鉄則として、昔から重宝されてきました。
敵を知ることは、あらゆることにおいて便利で、他社のことを知っていれば知っているほど、手札は増えるのです。
どんな企業でも、得意分野と苦手分野があります。しかし、これに関して無関心な経営者が多いのです。勝負をする時には、敵を観察することがすごく大事です。
ちょっとした動きから、その企業に何が出来て、何が出来ないのかを見極めることです。
本当の意味で、勝たないといけない場面が来ます。いわゆる真剣勝負です。
こういった場面に勝つには、どうすればいいのかというと、敵を知りつつ、自分を知る。
ということが、すごく大事になります。相手に、つけ込めるところがないか観察し、逆に自分がつけ込まれるところがないか自戒する。こうした相手と自分それぞれに対して臨機応変に両者に目を配るバランス感覚が必要になります。こういったバランス感覚は、どこで得られるのかと言えば、数え切れないほどの実戦経験。そして日々の研鑽としか言いようがありません。実践経験は得ることが難しいですが、日々の研鑽は工夫すればいつでもできます。
地道ながら、日々の研鑽は戦いにおいて後々有利に働いてきますから。怠らないようにすることが大事です。
手段を選ばず、という言葉がありますが、勝つためにどこまでの手段ならOKで、どこからが負けか、自社にとっての境界線を持っておかないと、本当の意味で勝ち続けることは難しいと思います。
投稿者プロフィール

-
LINK財務経営研究所 代表
1982年 4月 国民金融公庫入庫
1993年 4月 公益法人日本生産性本部経営コンサルタント養成講座派遣
2015年 3月 株式会社日本政策金融公庫退職
2015年10月 株式会社山口経営サポート(認定支援機関)入社
2019年12月 同社 退社
2020年 2月 LINK財務経営研究所 設立
2022年 5月 健康経営アドバイザー
2022年 7月 ドリームゲートアドバイザー
中小企業金融の現場で、33年間、政府系金融機関の担当者~支店長として事業資金融資の審査(与信判断)や企業再生支援、債権回収業務に従事するとともにそれに関する稟議書の起案・決裁に携わっていました。
その後、中小企業の財務責任者として資金調達、経営改善業務をお手伝いさせていただき、短期間で赤字体質の中小企業を黒字体質に改善するコトができました。
こうした経験を活かして、「財務の力でヒトとカイシャを元気にする」ために、小規模事業者・中小企業の皆さまのお役に立ちたいと考えています。
最新の投稿
マネジメント2023.05.31第109回 黒字社長と赤字社長では何がどう違うのか ~125項目のチェックリストで確認してみる~
リスクマネジメント2023.05.16第108回 ガバナンスの強化で組織崩壊を未然に防ぐ
マネジメント2023.05.06第107回 人を動かす真の優しさとは~仏の心と鬼の心~企業は人なり(その4)
中小企業経営2023.05.04第106回 企業に経営OSと事業アプリをインストール
コメント