第120回 企業を生かすも殺すも経営者次第 ~十人十色の経営哲学~

中小企業経営

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かんれき財務経営研究所の雄蕊覚蔵です。

 

企業は倒産体質
考えてみると、もともと中小企業経営は上手くいかないことが普通のことなのかもしれません。経営者が持つ夢(やりたいこと)の実現に向けて創業するのですが、売上を上げるためには、お客様に商品やサービスを選んで購入して貰わなければなりません。相手のあることですから、当然、経営者の目論見通りにうまくいくはずがありません。
一方、従業員も人なので、一人ひとり価値観も違えば、思想や考え方も異なります。また、人は感情の生き物であり、モノや道具みたいに経営者の思い通りに操ることができないのも当たり前のことなのです。
現実に目を向けてみると、およそ6割強の中小企業が赤字です。その事実が示すとおり、経営は難しく、経営者の思い通りにはなかなかうまくいかないのです。

経済評論家等のなかには、コロナ禍前から赤字の企業や賃上げもできないような企業は、市場から退出させ、活気のある新しい企業と入れ替えて新陳代謝を活発にしようと言われる方もいらっしゃいます。それは正しい意見だと思いますが、特に地方では、人手不足とはいえ、雇用を確保しなければならないので、簡単に新陳代謝を図るのも難しいのが現実だと捉えています。
また、赤字の原因も種々様々です。外的な要因もあれば、経営者の放漫経営もあります。経営者に経営手腕がなく、放漫経営で赤字が続いているなら、そういう企業は即刻市場から退出して貰うこともあり得ます。赤字を続けていたら、いずれ資金不足に陥り事業継続ができなくなるのは、火を見るよりも明らかなことです。

企業経営がうまく行くのも失敗するのも、すべて経営者の責任です。長期利益を確保しながら、社会に貢献して企業の存在価値を高めていくという両輪(2つの命題)をコントロールするのは経営者です。
経営者の方達は、そういう難しい役割を求められながらも逃げ出さないで経営を続ける理由は何なのか。その理由が経営者の持つ経営哲学にあると考えました。

 

経営哲学は十人十色
これまで数多くの経営者の方と関わりを持つ中で、経営者自身なりのしっかりとした経営哲学を持っている方とそうではない方との見分けがつくようになりました。
経営哲学という言葉を聞くと固いイメージが浮かぶかもしれませんが、ここでいう経営哲学とはそんな堅苦しい意味ではありません。
経営者が生まれ育った家庭環境、幼少期からの体験等、経営者一人ひとりがこれまで様々な経験を積み重ねてきたなかで育まれた考え方や信念、思想といったものが、経営哲学です。
そのため、経営者にとっての経営哲学は、一人ひとり異なります。十人十色の経営哲学があって当然なのです。
また、経営哲学は、誰かに言われて持つものではなく、経営者自身のなかで自然に醸成されていくものです。だから、中には経営者自身のお金儲けのためだけに経営するという自己中心的な考え方に偏った経営哲学もあると思います。しかし、誰もそれを否定することはできません。ただ、そんな経営者に人がついて来るでしょうか?そういう疑問は残ります。

 

人の心を大切にする経営哲学
ある中小企業の退職者数人が、揃って口にしたのが「あの会社は嫌いではなかったし、やっていた仕事も嫌じゃなかった。今でも続けたかったと思っている。ただ、経営者や経営層、管理職の考え方や言動についていけなかった。頼りにしていた人達が、理由も分からないまま、次々に突然、姿を消していく。明日は我が身かもしれないと思うと将来が不安になり、今の経営者・経営層の犠牲にはなりたくないと転職を選んだ」だったそうです。
退職者達の言い分ですから、自分勝手なことを言っているのかもしれません。しかし、多くの元従業員が同様のことを感じながら勤務を続け、同様の理由で離職したという事実があるのならば、経営側に少なからず問題があったのだろうと推測されます。
もう少し、経営側と労働側が寄り添い、忖度のない対話を通して、お互いに円滑な意思疎通ができていたら、多くの従業員が退職にまで追い込まれなくて済んだのかもしれません。

冒頭にお伝えしたとおり、経営者一人ひとりが持つ経営哲学は自由であり、誰にも縛られないものです。しかし、元従業員達が口々に話した不満を耳にすると、経営哲学にも「正しい考え方」だけは必要だとつくづく考えさせられます。
経営というものは、数字やお金を追いかけるのではなくて、人を追いかけることが基本になると考えます。様々な形で企業経営に関係する周囲の人達を幸せにしてこそ、企業は成長・拡大を続け、持続可能なものになるのではないでしょうか。人をしっかり追いかけていれば、数字やお金は後からいくらでもついてくるものなのです。

 

経営哲学と自分軸
しっかりとした経営哲学を持つ経営者は、ブレない自分軸を持っています。ブレない軸があることで、経営判断や企業としての方向性に一貫性が生まれます。一貫性があれば、合理的・論理的に事業を進めることができます。
一方、経営哲学を持たない経営者は、自分軸を持っていない方が多いので、周囲の意見に惑わされ、経営判断がその都度ブレてしまいます。そうなると、意思決定に時間が掛かったり、意思決定そのものすらできなかったり、投資のつもりで支出したはずのお金が単なるコストになったり、もっと言えば無駄な支出が増えてしまったりすることもしばしば起こります。
そんなことが繰り返されると、従業員は経営者に対して「その場限り、場当たり的」といった冷めた評価を下すようになります。上司からの指示も、いつハシゴを外されるのか分からないという不安が先行して、前向きに取り組めなくなります。
経営者にしっかりとした軸が無ければ、無駄なお金を使ったり、従業員のヤル気を削いだりといったことが起きてしまい、長期利益の獲得が難しくなり、企業存続の条件が充たせなくなるのです。

 

経営者に必要な謙虚な気持ちと真摯な態度
経営上の大きな2つの命題を推し進めていくために、経営者には①目標設定力、②組織化力、③コミュニケーション力、④評価測定力、⑤問題解決力といったマネジメント能力が必要なことは言うまでもありませんが、これらの能力に加えて、経営者としての人間力が求められています。人間力とは「謙虚な気持ち」と「真摯な態度」だと思います。
謙虚な気持ちがないと、前半に紹介した退職者達の言葉も「辞めた人達の身勝手な意見だから勝手に言わせておけばよい」「我が社にはもともと不似合いな人達だから辞めてもらってよかった」と意に介すこともありません。また、周囲からの様々な意見や助言に対しても、素直に聞き入れることなく頭から否定する態度がしばしば見られます。何事も謙虚な気持ちを持って受け入れて、自分のなかで咀嚼し、自身を振り返ることで人間力の強化や人としての成長に結びつくと思います。
人は感情の生き物であり「情」によって左右されやすい特性を持っています。従業員等、周りの人の意志に働きかける際に大切になるのが「真摯さ」です。「真摯さ」は「人として正しい意思決定と当事者意識と覚悟を持った行動」に現れます。
組織や人を動かすためには「謙虚さ」と「真摯さ」が大切なのです。

経営者なら持っておきたい意識と覚悟
これまで学んだ中で気になったプロフェッショナル経営者の意識と覚悟を、参考までにその言葉だけを並べて紹介します。

「社会のためならわが身を投げ出すこともいとわない覚悟が必要」
トップたる者は公人としての心構えを持たなければならない。あるときは私人としての権利も、また自分自身や家族をも犠牲にしなければならないことがあるかもしれない。そうした覚悟がない人はトップになってはいけない。

「リーダーは常に世のため人のためにあれ」
地位の高い人は、それに相応しい徳の高さや自己犠牲の精神を持たなければいけない。

「偽りがあってはいけない、私心があってはいけない、わがままであってはいけない、奢りの心があってはいけない。そうした高潔な生き方をおのれに課すこと」
これが人の上に立つ者の義務

 

企業を生かすも殺すも経営者次第
過去10年近く赤字を続けていた企業を2年で黒字に立て直した事例があります。資金ショートまで余命数ヶ月という瀕死の重傷だったのですが、なんとか再生に成功し、黒字転換後6年間黒字を続けてきました。成功した理由は、事業そのものを見直したり、人を入れ替えたりしたのではなく、専門知識や経験を持つ者が経営のセオリーに沿った経営を行ったからです。赤字の原因を正しく掴み、解決策を見つけて、スピード感をもって実行できれば、どんなに赤字が続いていた企業でも黒字転換できることもあるという事例です。
その企業が、足元で売上が伸び悩む一方で、離職者が集中して入退職にかかる費用が増加したために、大幅な利益の減少、最悪の場合には赤字に陥る可能性が高まっています。最近の数字をみると、短期間のうちに経費が増えて、高収益モデルから低収益モデルにモデルチェンジしていました。そうなった理由は、企業内に正しく経営できる経営者・経営層がいなくなったからです。企業は倒産体質なので、きちんと経営できなければ赤字になるのは必然なのです。
この事実を目の当たりにして、企業や組織とは砂上の楼閣のように脆いもので、経営者の考え方や行動、実行スピード等によっていくらでも左右されるのだと改めて実感しました。言い換えると、企業や組織を生かすも殺すも経営者次第ということです。

経営者の経営手腕の優劣は、結果と実績に現れます。企業の目的は、企業によって種々様々ですが、企業の存続条件である長期利益の獲得は、いかなる企業にとっても共通の課題です。そう考えると、経営者の手腕は、P/LやB/Sに数字として現れた結果と実績に基づいて評価されることに公平性や妥当性があるといえます。数字やお金は嘘をつきません。何の忖度もなく事実をそのまま表わすのです。経営者の手腕を何をもって評価することが正しいのか、ずっと考えていましたが「経営者は企業業績で評価される」という結論に辿り着きました。

 

経営哲学を可視化して組織に浸透させる
企業経営は、前述したとおり、長期利益の追求・確保という存続条件を満たしながら、顧客への価値提供を継続していくという2つの命題を両立させていかなければなりません。
どんな立派な経営哲学を持っていても実践されなければ意味がありません。実践するためには、経営者の内に秘めた哲学を「見える化」する必要があります。それが企業にとっての経営理念であり、基本方針です。
経営理念には、経営者が持つ経営哲学をベースにして、①企業が果たすべき役割(存在意義)、②企業の目指す姿(方向性)、③社会に提供する価値(価値観)という3つの要素が盛り込まれていることが大切です。

設立した企業の存在意義とは、社会において果たすべき役割や使命とは、それらを実現するためにはどんな組織にしなければならないのか、企業活動の根幹を規定するものです。そこには、創業時の経営者の思いや願いが反映されており、創業以来、連綿と受け継がれ、基本的には一貫した普遍的なものです。

また、企業の目指す方向性をしっかり示すことも大切なことです。企業としての存在意義や役割、使命を果たし続けることで、数年~数十年後にはこんな企業に成長していたいという到達点を従業員等のステークホルダー、引いては社会全体に示すことが必要なのです。
企業としての将来のあるべき姿を外部に向かってコミットすることで、経営者の自己抑制力も働くようになると思います。それは、ステークホルダーをはじめ、外部にコミットした以上、目指すべき方向性がブレることなく、最後までその責任を果たす義務が生まれると考えるからです。

企業としての価値観、言い換えると組織風土や企業文化を醸成することも大切です。企業に属する従業員等が皆、この企業はどうあるべきか、どういう価値観を持って、従業員である我々はどのように動くべきなのか。日々の判断や行動の基準となる姿勢や価値観を組織独自の考え方や優先順位を明確にして共有することで組織風土や企業文化を醸成することができるのです。

 

大切なのは経営者の考動力
立派な経営哲学を経営理念や基本方針として落とし込み、組織内に浸透させても、残念ながらそれだけで経営が上手くいくわけではありません。さらにそれを実現するために具体的にやらなければならないこと、行動しなければならないことを決めて、実行する必要があるのです。
2つの命題の達成に向けて、企業としてやるべきことを組織全体で共有するためには、経営計画、事業計画、経営戦略、経営戦術を策定することが肝要です。
経営理念や基本方針で「共通の目的」を明確にしたら、その目的達成に向けてやるべきことをより具体的に決めなくてはなりません。実行部隊としての組織体制の構築や必要人員の確保、組織や人の役割分担、計画の実行進捗を管理する仕組み、存続の条件である長期利益の追求のための計数管理の徹底、顧客の価値創造に向けたマーケティング戦略に基づく営業活動の強化等、最後は、経営者がしっかり考えて決めて、先頭に立って行動に移さなければなりません。

組織として同じ方向に向かって動いていくためには、決めたことを経営者、経営層、現場のスタッフで共有し、お互いにきめ細かな意思疎通を図ることでコンセンサスを得ながら進めなくてはならないのです。そういう仕組み(システム)を構築することで、組織に一体感が生まれ、従業員に「協働意欲」「貢献意欲」が沸いてきます。
また、利益追求のための判断は、合理性・論理性を基準に行いますが、組織や人を動かすための判断は、合理性や論理性だけではうまく動かないので、そこには情理という人の感情をも慮った判断も欠かせないのです。

 

企業の目的
様々な中小企業経営をみるなかで、企業の目的は何なのかについて改めて考えさせられることも多々あります。このブログでも何度かお伝えしたとおり、企業が存続していくためには、長期利益の獲得が必要条件になります。利益追求は、企業の目的ではなく、企業存続の条件であり、事業の拡大・成長のための必須条件なのです。

ドラッカーの名言に「企業の目的は顧客の創造」という言葉があります。顧客の創造とは、自社の強みや武器を活かして、顧客に価値を提供し、顧客満足度を高めることです。本来の経営の目的の本質はこの「顧客の創造」に集約されると思います。

例えば、利益の追求に偏り過ぎてしまう等、本来の目的を見誤ることで組織や従業員の間に様々な問題が発生する可能性が高まってしまいます。
経営の目的が明確になっていなかったり、「正しい考え方」に基づいていなかったりした場合に想定される問題を挙げてみます。
① 組織風土が乱れる
経営者が顧客を無視して利益追求に走り「利益にならないことはすべて無駄、不要」といった態度を示すと、組織全体にそういう価値観が浸透してしまいます。その結果、企業の重要な目的である「顧客への価値提供」を追求する価値観が失われてしまいます。また、従業員は利益を生み出すための歯車であり、コストであると捉えるような価値観が拡がってしまうと、従業員は経営者等の上層部から「モノ」扱いされているという感情を持ち、企業に対するエンゲージメントも仕事に対するモチベーションも維持できなくなってしまいます。そして健全な組織風土が壊れていくのです。

② 従業員や取引先に過度な負担を強いてしまう
最近、また大手企業の不祥事が明るみに出ました。この企業の事例は、まさしく利益追求に偏り過ぎ、自社だけが「儲かりさえすればいい」「得をすればいい」といった考え方が組織内に蔓延して、何よりも自社の利益が最優先されてしまった結果だと思います。
そのような視点に立つ経営者や経営層は、従業員に膨大な仕事を押し付けたり、外部の協力企業や仕入先にも過度の負担や不利益を与えたりすることになります。つまり、従業員や外部の取引先等はすべて儲けるための「道具」になってしまうのです。
その結果として、コンプライアンス上の問題や①で述べた従業員エンゲージメント低下やモチベーションダウンにも繋がってしまいます。

③ 従業員が企業や仕事に誇りを持てなくなり、最悪の場合、離職してしまう
ある企業の従業員が「友達から勤務先を聞かれたとき、恥ずかしくて企業名が言えず、仕事の内容だけを伝えた」と言っていたことがあります。
経営者が代わり、本業以外に手を広げて利益追求だけを追い求め過ぎたことが、その原因でした。対外的な評判もよろしくなく、そうした噂を耳にした従業員は、勤務先名を口にすることを憚るようになってしまったのです。こうなると従業員は働く意味を見失い、仕事に対する意欲を失ってしまいます。
人は、企業に対するエンゲージメントや自身の仕事への誇りが持てて始めて、主体性を発揮することができるものです。何のために働いているのかわからない状態になってしまえば、主体性も発揮されず、壁にぶつかってもその困難を乗り越えることも難しくなります。そんな状態が続くと、メンタル不調になる確率も高まり、最後には離職してしまいます。

④ 社会的信用失墜に繋がってしまう
SNSの普及により、企業に関する様々な問題はすぐに拡散されやすくなりました。「口コミ」等により、商品・サービス、営業手法、従業員の態度、コンプライアンス違反、職場環境(ハラスメント等)、経営陣の問題発言等があっという間に拡散され、それが炎上してしまえば、企業は社会的信用を失います。そして、顧客・取引先・従業員離れが進んだ結果、事業の継続が難しくなるのです。

⑤ 顧客離れが起きてしまう
利益追求が最優先される等により従業員満足度が充たされていないと、組織として顧客の利便性(ベネフィット)を無視した商品・サービスの開発や提案、販売しかできなくなります。それでは顧客からの共感を得ることができず、顧客満足度は充たされません。次第に顧客離れを起こし、ジリ貧となってしまいます。
短期的な視点で利益を追求することに目が行き過ぎて顧客の価値に重きを置かなくなると、長期利益を得る機会を失い、継続的な事業展開が難しくなってしまうのです。

⑥ 従業員の採用が難しくなってしまう
上述したある企業のOBの言葉を聞くと、元従業員達は、勤めていた企業に対してあまりいい感情を抱いていません。在籍していた企業のことなので、外部で積極的に悪評を立てることはないかもしれませんが、この企業への就職を考えている知人等から相談を受けたら、消極的な返事になってしまうと思います。
これまでに元従業員からの情報により内定者が辞退したケースが起こっている企業や地元からの応募者が少なくなっている企業もあります。その企業の評判が、地元ではあまりよくないと推測されるケースです。
労働人口数が減って、人手不足が深刻化しているなか、採用が難しくなるのも、企業にとっては大きな痛手です。

 

経営環境の変化と経営哲学
リーマンショックや新型コロナ感染症の拡大等、経済危機が起きるたびに、国が経済対策を発動し、遍く企業を支援してきました。こうした国の支援策によって延命できた企業も少なくありません。
しかし、国もこれまでの遍く企業を支援するというスタンスから、企業を選別して支援する方向に転換しつつあります。四半世紀続いたデフレの時代から経済環境は大きく変化しようとしており、環境変化に適応しながら経済力を高めるためには、自力回復が難しい企業は市場から退出してもやむなしとの判断からだと思います。
赤字から脱却できない、賃上げも十分にできない企業を温存する時代から、新陳代謝を活発にして日本経済の底上げを図ることが求められる時代へ大きく方向転換しようとしています。今はその過渡期に差し掛かっているのです。

逆説的な考えかもしれませんが、冒頭に述べた「もともと経営はうまく行くはずがないのだから、経営者は真剣になって経営に取り組まなければなければ継続できない」これが経営の真理ではないでしょうか。
経営者がやるべきことは「顧客の創造」と「長期利益の追求」の2つに集約されます。経営に正解はありませんが、正しい経営のセオリーはあります。
大手企業の不祥事が後を絶ちません。経営トップの「引責辞任」が相次ぎました。顧客や従業員をないがしろにした過度な利益追求や同族企業ゆえの経営者への権力集中がその理由です。中小企業は同族経営が多く、所有と経営が一致しているのでガバナンスが機能しづらい構造になっており、良くも悪くも経営者の独断専行が起きやすい体質です。無意識のうちに無言の強い圧力や不当な権威が蔓延り、組織内に不要な忖度が働くようになる暗黙知が浸透してしまう可能性が高いのです。
こうした特徴も鑑みたうえでの、あくまで個人的な意見なのですが、中小企業経営のベースになるのは、経営者の持つ正しい考え方に基づいた経営哲学だと、最近とてもそう感じています。

投稿者プロフィール

矢野 覚
矢野 覚
LINK財務経営研究所 代表 
1982年 4月 国民金融公庫入庫
1993年 4月 公益法人日本生産性本部経営コンサルタント養成講座派遣
2015年 3月 株式会社日本政策金融公庫退職
2015年10月 株式会社山口経営サポート(認定支援機関)入社
2019年12月 同社 退社
2020年 2月 LINK財務経営研究所 設立
2022年 5月 健康経営アドバイザー
2022年 7月 ドリームゲートアドバイザー
中小企業金融の現場で、33年間、政府系金融機関の担当者~支店長として事業資金融資の審査(与信判断)や企業再生支援、債権回収業務に従事するとともにそれに関する稟議書の起案・決裁に携わっていました。
その後、中小企業の財務責任者として資金調達、経営改善業務をお手伝いさせていただき、短期間で赤字体質の中小企業を黒字体質に改善するコトができました。
こうした経験を活かして、「財務の力でヒトとカイシャを元気にする」ために、小規模事業者・中小企業の皆さまのお役に立ちたいと考えています。

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