第80回 【2000字commentary】人財育成

スキルアップ

「こんにちは、かんれき財務経営研究所の雄蕊覚蔵です!」第80回は「人財育成」と題して、経営者や管理者に求められる財育成のノウハウについて考えてみたいと思います。

 

「やってみせ 言って聞かせて させてみせ ほめてやらねば 人は動かじ
話し合い 耳を傾け 承認し 任せてやらねば 人は育たず
やっている 姿を感謝で見守って 信頼せねば 人は実らず」

これは、連合艦隊司令長官として有名な山本五十六の言葉です。
旧大日本帝国海軍の連合艦隊司令長官を務め、最終的な階級は元帥海軍大将という山本五十六は、軍隊というピラミッド型のヒエラルキーな組織において、最上位階層のなかでも頂点に近いポストに就いていた人物。つまり、一流の管理者であり、有能なリーダーだったと推察されます。その存在感の背景には、際立ったマネジメントスキルと求心力、確かな人材育成力を持ち合わせている人間力に秀でた人物であったことだと思います。

この言葉を解釈すると、
人を動かして育てるためには、まずは自分がお手本となってやってみせること。そして、きちんと説明して相手の納得感を得たうえで、実際にさせてみること。大切なことは、しっかりと相手の行動を褒めてやること。そうすれば人はお手本どおりに動くという意味合いだと思います。

人を育てるためには、フォローアップが大切だと説いています。行動させてみて、お手本どおりに動くことができたか、課題はないか話し合う機会を設けて、相手の話を傾聴して、必要に応じて助言し、相手の成長を承認して、任せてあげることで、人はさらに育つのだと続けます。

その人が立派に成長し、頑張って取り組んでいる姿を感謝の気持ちを持ってしっかりと見守り、信頼を寄せる気持ちで対応すれば、人は成熟し、自立し自律できる人財になると括っています。

上司からこんな言葉を聞かされたら「こんな上司、指導者なら、信頼して着いていきたい……」と素直に思うのではないでしょうか。
なかなか、いざ自分がこれを実践しなければならない立場になったとしたら、そう簡単には実行できないかもしれません。
褒めて、任せて、信頼する──言うのは簡単ですが、実行することはそう容易くありません。たとえば、部下や目下の人間に対して「なぜできないのかと叱責してしまう」「相手の発言を頭ごなしに否定してしまう」「相手のことが認められず、つい余計な口を挟んだり、手を出したりしてしまう」といった状況に陥りがちです。
この言葉には、人の上に立つ者は「まずは自分自身が周囲の人々や仕事に対して誠実でなければならない。そのためにも、自己研鑽を怠ってはならない。決して傲慢にならず、周囲に寛容でなければならない」という自覚と覚悟を持つことを促しているという意味合いも込められていると考えます。人材育成の本質とは「自分がこれまで、どれだけ成長できたか。そして今後、どれだけ成長できるか」を冷静に自己分析することに他ならないのではないでしょうか。
人財を育てる過程では、教える側の強みや弱みも炙り出されていくものです。そこで、指導する立場にいる人も自分の至らない点から目を背けず、課題を真摯に受け止めて、自身の成長に繋げていけるかどうか。つまり、自身の意識改革や行動変容に繋げていけるかどうか。その覚悟があるのか? 次の世代を教え導き、少しでも明るい未来を継承していくことができるのか?
指導者が、常に自身に向けてもそんな問いかけを繰り返して一緒に成長していくことも大切なことだと思います。

 

「7・2・1の法則」をご存知でしょうか。人が成長するために「何からどのくらいの割合で学びを得るのか」を示した法則です。人は7割を「仕事上の経験」、2割を「上司や先輩からの助言やフィードバック」、残りの1割を「研修などのトレーニング」から学ぶと言われています。
仕事上の経験が学びの7割を占めていることから、経験させて学ばせることが人材育成の肝であり、部下の成長につながることは間違いありません。 部下の育成に向けた「仕事の割り振り方」「仕事の任せ方」について考えてみます。

仕事の割り振り方
仕事を割り振る側にとって重要なことは、「適切な人に適切な仕事を割り振ること」です。それを実現するためには、目指すべき人材像を設定し、それに向けた一人ひとりの課題を理解したうえで、課題を克服するためにどのような知識・スキルを身につけてほしいかを把握すること。そして、その知識・スキルを身につけてもらうために、誰にどんな仕事を割り振るかを組み立てることが重要になります。
また、仕事を割り振る前には、その仕事に対する対象者の理解度を確認する必要があります。対象者のレベルを把握し、適切に仕事を割り振ることができれば、大きな成長につながります。メンバーの状況を見て、時にはあえてハードルの高い仕事を経験させることも効果的です。

仕事の任せ方
仕事を任せる際には「なぜあなたに任せたいのか」「この仕事をすることのメリットは何か」といった説明を事前に行い、その仕事に対する意義付けを行うことが大切です。さらに仕事を進めるうえでつまずくと思われるポイントをあらかじめ伝えます。そして再び意義付けを行います。つまずくと思われるポイントが部下にきちんと伝わると、その分だけ部下は仕事の難しい面を気にするようになります。そこで、もう一度意義を伝え直し、視点を上げるのです。端的に表すと「難しい仕事ではあるが、それだけやりがいもあるよ」と伝えるイメージです。このような任せ方を通じて、部下は割り振られた仕事に対して”自らやる”と決意する感覚が醸成されていきます。

どのような仕事をどのように任せるか、仕事の割り振り方と仕事の任せ方で、部下の学びへの意欲と成長スピードは大きく変わってくるのです。

投稿者プロフィール

矢野 覚
矢野 覚
LINK財務経営研究所 代表 
1982年 4月 国民金融公庫入庫
1993年 4月 公益法人日本生産性本部経営コンサルタント養成講座派遣
2015年 3月 株式会社日本政策金融公庫退職
2015年10月 株式会社山口経営サポート(認定支援機関)入社
2019年12月 同社 退社
2020年 2月 LINK財務経営研究所 設立
2022年 5月 健康経営アドバイザー
2022年 7月 ドリームゲートアドバイザー
中小企業金融の現場で、33年間、政府系金融機関の担当者~支店長として事業資金融資の審査(与信判断)や企業再生支援、債権回収業務に従事するとともにそれに関する稟議書の起案・決裁に携わっていました。
その後、中小企業の財務責任者として資金調達、経営改善業務をお手伝いさせていただき、短期間で赤字体質の中小企業を黒字体質に改善するコトができました。
こうした経験を活かして、「財務の力でヒトとカイシャを元気にする」ために、小規模事業者・中小企業の皆さまのお役に立ちたいと考えています。

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