第61回 組織力強化に向けた人財(自分)磨き

スキルアップ

「こんにちは、かんれき財務経営研究所の雄蕊覚蔵です!」第61回は「組織力強化に向けた人財磨き」と題して、組織力強化に貢献できる人財の磨き方について考えてみます。これまで、このブログで様々な切り口から経営や組織運営に関する情報提供や意見・提言をさせていただいていますが、いずれも経営の本質は一つなので、ゴールは同じだと考えています。そこで今回は、少し目先を変えて、組織を構成する人にスポットを当てて人の成長に繋がる意識の在り方みたいなことについて検証してみようと思います。

《今回のポイント》
人が経営者・管理者・組織の一員として成長するために必要なことを考えてみる。
①自分自身に対する気付き
②人の話に耳を傾ける
③当事者意識を持つ
④経験を積み重ねる
⑤段取り力を身につける
⑥「4つの目」で判断する
⑦「組織」と「集団」の違いを理解する

《幽体離脱して自分を見直す》
自分自身が成長するための基本姿勢は、自分自身が自分の課題を見つけて一つ一つ克服していくこと、自己責任で進めていくことです。
そのためには、まず「己を知る」「自分に対する気付きを持つ」ことが第一歩です。自分自身のことを第三者の目で見つめてみることが大切です。先入観に捉われず、素直な気持ちで、眠っている自分の姿を幽体離脱して天井から眺めてみると「己の真の姿」、自分の強み、弱みがしっかりとしたディテールを描いて見えてきます。自分自身の「真の姿」をしっかり把握し、強みを伸ばすこと、そして弱みを克服していくことにしっかり取り組むことが大切なのです。必要なのは自分に対する「気付き」です。

 

《受容力を高める》
ここで取り上げる受容力とは、人の話を素直に聞くことができる能力のことです。
個人の成長という面からみると、人の話を素直に聞くことの出来る人財は、仕事面でも成長が顕著に現れます。自己主張が強く、人の話に耳を傾けない人材は「平泳ぎ」を続けて、成長が見られません。

組織運営という面からみると、事業体としての組織には、多くの部門や部署があり、その組織に属する多数のメンバーが自分の役割を果たしながら協力しあい、1つのゴールに向かって仕事を進めています。なので、同じ組織のメンバーは、同じゴールを目指していることを大前提に、円滑なコミュニケーション等により共通認識を持つことが重要なのです。
もし、メンバーのうち誰か1人でも自分本位の主張をし始めると、ゴールに向かって結束しているメンバーの気持ちがバラバラになってしまいます。その結果、組織の業務効率を落とすだけではなく、組織の和を乱すことにもなりかねません。組織内に方向性の異なるメンバーがいるようでは、組織がうまく機能しなくなるのは当たり前のことです。
また、自分本位の意見ばかりを主張する人は、他人の言葉には耳を貸さない傾向があります。本来、認識しておくべきことをしっかり理解したうえで、自分の意見を主張するのであれば、まだ許せる余地があるのですが、明らかに間違った考えや知識不足の下で、片意地を張って人の話に耳を傾けることができないようでは組織人としては失格です。そういった人材が経営に関わっていると組織崩壊に繋がりかねません。
経営者や専門性に秀でた経営幹部からの意見やアドバイスは、素直に受け入れなければなりません。そういう意見やアドバイスには、それなりの裏付けがあるからです。それを無視して、個人の主張だけで動くことは避けるべきなのです。

相手の話をきちんと聞くことは「相手を認めていることの表れ」でもあります。組織の中で円滑な人間関係を築くためには、お互いのリスペクトが非常に大切で、謙虚さは総じて相手に対して好印象を与えます。信頼を勝ち得て成功する人に謙虚な人が多いのも、相手のことを考えられる度量があるからなのです。受け入れがたい他人の意見やアドバイス、時には厳しい意見だとしてもきちんと聞く耳を持つことは、組織人として身につけるべき能力の1つです。自分を相手に認めてもらうためには、まず自分が相手のことを認めることから始めるべきであり、その一歩が聞く耳を持つことです。

 

《「当事者意識」を持つ》
事業計画や行動計画を策定しても実行できていないことが往々にしてあります。これは誰が責任者として進捗管理するかが曖昧になっているからです。基本的に人は誰も面倒なことに首を突っ込みたくないというのが本音です。そこで物事を動かすためには、大切な意識「当事者意識」を持つことが必要です。
当事者意識とは、
①自分自身が、その事柄に直接関係すると分かっていること、②何らかの物事やプロジェクトなどに参加している当事者である、関係者である、という意識のことです。
当事者意識が希薄な組織には、①誰かがなんとかしてくれると思っており、危機感がない、②他責・他者批判を行うが、提案をしない社内評論家が多い、③最後までやりきる人材がいない、④言い出した人が損をするという風潮がある、⑤先送りの姿勢が蔓延しているといった特徴があります。
経営者やスタッフがどんなに優れた能力を持っていても、問題意識が無く(意識改革や行動変容が無く)、そして当事者意識が無ければ、結果としてその人は何もしない(=能力を発揮しない)ので、組織自体の発展がなく、いずれは衰退してしまうことを肝に銘じておくべきです。
当事者意識を持つためには、
①仕事に対する理解を深める。仕事に対する意欲ややりがい、情熱がないと仕事に対しても消極的、受動的になってしまいます。
②仕事への意欲ややりがいを持たせるためには、ある程度責任感を自覚させて、プロ意識を持たせ、仕事を任せる。自分の責任感を自覚させると、失敗後の責任への理解や仕事へのやりがいにつながる。
③自分自身で決めて、自分の意見や行動が出せるようにする。部下や後輩自身が考えて決断する機会を設ける。
④成功体験を積み重ねて自信をつけてあげる。

 

《量が質をつくる~経験こそ成長の源~》
およそ20年前に「バカの壁」という東京大学名誉教授・養老孟司の著書が400万部を超えるベストセラーになりました。自分に与えられた仕事しかせず、それ以上のことには首を突っ込まない。つまり、自分勝手に「限界の壁」を作り、その中でしか仕事をしない。これは、当たり前のことなのですが、そんな人材が多いと感じています。
昇進・昇格を繰り返すと、それぞれの職責で求められる役割や成果が高度なものになりますが、それぞれの職責に求められる知識やスキルは、そのポストに就いたからといって一朝一夕に身に付くものではありません。それまで積み重ねてきた経験があってこそ身につくものなのです。逃げる姿勢では成長しないのです。勿論「ポストが人を作る」こともありますが、戦力化するまでに時間がかかります。
「楽をしたい」それは誰でも思うことです。自分の守備範囲でない分野まで首を突っ込むということは、抱えなくてもよい問題まで抱えてしまう可能性がありますし、まず仕事の量が増えます。しかし、逃げていたのでは、いつまで経っても成長はありません。いかにしてキャリアアップを図るか。「量をこなして質を高める」汗を流すこと、努力を重ねること、繰り返し練習に励むことは決して嘘をつかない。必ず成果として現れます。
自分なりに目標を持ち、守備範囲以外の仕事が来た時には千載一遇のチャンスと捉え、果敢に挑戦し、その経験を自分の財産として蓄積し続けて欲しいものだと思います。

 

《「段取り力」を身につける》
「段取り力」とは「優先順位づけ」「時間の管理能力」「人やチームを統率する力」「プレゼン能力」「トラブルの処理能力」等、ビジネスに必要なありとあらゆる「武器」を統合する重要な能力のことです。「仕事ができる人」は例外なく「段取り力」を持っています。「ムリ・ムダ・ムラ」をなくし、常に迅速で完成度の高い「いい仕事」をする秘訣です。
多様化・複雑化する現代社会では、多数の業務を迅速に処理する推進能力や、自発的・自律的に業務マネジメントしていく人材が求められています。
「段取り」とは、仕事の効率を上げること、仕事をする人間のスキルを最大限発揮させることです。柔軟な「段取り」を行い、ある程度のリスクを想定することで、精神的にも安定して作業も行うことができ、作業の加速を落とす原因となる不慮なトラブル後のリスクを抑えることもできます。
段取りの由来は、歌舞伎の楽屋用語が語源といわれています。「段」とは、話の一区切りや一幕のことで、芝居の筋や構成の運びを「段取り」と言ったことによります。文章中の「段落」も、一区切りという意味をからきています。また、坂道に石段を作る際、勾配を見て何段にするか見積もることを「段を取る」と言い、石段の出来不出来で「段取りが良い」「段取りが悪い」と言ったとする説もありますが、俗説と考えられています(「語源由来辞典」参照)。
職人の世界では昔から「段取り八分」というように、段取りを表す言葉が存在しました。物事は八割が段取りで決まるという意味で、一般の人たちの間でも普通に使われています。

 

《「4つの目」で判断する》
「G-P-D-C-A」というサイクルで経営すること、G=GOAL(辿り着きたいあるべき姿・理想の姿の設定)、P=PLAN(計画策定)、D=DO(計画実行)、C=CHECK(検証、モニタリング)、A=ACTION(計画の見直しと再実行)このサイクルを回すことが経営の1つの手法だと言えます。このサイクルを回すために重要なことは、ゴール設定を間違わないこと、正しい意思決定をするということです。
正しい意識決定に必要なことは「鳥の目」、「虫の目」、「魚の目」、「ヒトの目」という「4つの目」で物事を視ることだと思います。

鳥の目とは、高い所から広い視野でもって物事全体を見つめていくことによって、大局観を把握する目です。物事全体を捉えることは、経営を行っていく上でとても大切な視点です。難しく思えることも、全体の大まかな成り立ちや仕組みがわかるといくぶん取り組みやすくなります。

虫の目とは、ミクロ、つまり足元を見るということです。虫は小さな生き物です。地面に近い低い位置にいるからこそ、上からは見えなかったことが見えてくるようになります。ターゲットを絞り、虫のように「狭く近く」徹底して見る目です。現場・現物・現実という「三現主義」でもって、顧客と接する現場を中心として現物と現実に向き合い、お客様を細部から見つめ直す目ともいえます。

魚の目とは、トレンド(傾向)、つまり時代の流れを見極める目です。魚は目には見えない川の流れを体全体で感じ取っています。時代の変化(流れ)を見逃さず、ビジネスチャンスとして生かすためにも非常に重要な視点です。ビジネスはスピードが命です。ですから、微妙な時代の変化を見逃さないためにも忘れてはならない視点です。いかにして、他社(者)よりも早く時代の変化をキャッチしていくことができるか否かが、これからの時代において勝負の明暗を分けることになります。

ヒトの目とは、「判断する目」です。全体を俯瞰して、鳥の目で戦略を決める。自分の強みや現在位置、目指すべき先にいる存在やゴール、競合の動き等を虫の目で狭く深く堀りさげて競合との差を生み出し、魚の目で川を泳ぐ魚のように時代の流れを読み、先手を打ちます。そして、計画にどう盛り込むか、どのようにして実行に移すか、経営者が最終的に意思決定する場面で、必要になる目が「ヒトの目」なのです。

3つの目を活用し、多面的に捉え、それを「ヒトの目」で判断する。成熟化した社会で様々なコトが多様化、複雑化するなかでは、余計に必要となってくるスキルだと思います。

 

《組織と集団の違いを理解する》
集団は、ただの人の集まりですが、組織は、役割をもった人の集まりです。組織に属する人には、必ず役割が紐づいているのです。
成果の出ない組織では、この役割の概念が当たり事になっていません。だから、誰かが役割から逸脱しても本人も気にしなければ、その周りも気が付かない。リーダーが自分の役割そっちのけで、本来、部下等が担うべき仕事までも一人で抱え込んで、部下等の成長を阻害していても、そういうリーダーに誰も違和感を感じないのです。

組織力強化に向けてリーダーがとるべき部下への対応で最重要なことは「部下に負荷をかけて、成長させること」つまり人財育成です。
部下を成長させることを第一義的に考えることができる管理者ならば、部下が一人で生きていくだけの知識や技術をつけることを手伝うのが一番重要なことだとわかるはずです。

マネジメント業務の柱は人に関わることなので、本来のマネジメントが出来ていないと、自分一人が苦しい思いをするだけではなく、自分とかかわる過去、現在、未来の部下たちを巻き込んでしまいます。
管理者自身が、どのように対処するかしっかり理解でき、実践できれば、管理者である自分も成長でき、部下をも成長させることができるのです。
「相手のことを思って相手の仕事を奪い、結果的に相手の成長の機会を奪う」
「大変そうなので自分が抱えて仕事をするという相手のことを慮る」リーダーのこうした気持ちは、自然な感情と結びついています。このような人として賞賛される行為は、友人関係であれば、絶賛されるべきですが、リーダーがこれをやってしまうと組織としては失敗に終わります。「大変そうな相手のことを慮る」感情自体は、まったく責められるものではありませんが、リーダーが部下の仕事をただ手伝うというのは「部下の成長の機会を奪う」ことです。これが中長期に亘り、繰り返されると、部下の成長の機会は奪われ続けていきます。この結果、残念な部下が育っていきます。考えられない部下、自分で危険を想定しない部下、が出来上がります。

仕事を自分で抱え込んで、部下に振れないリーダーの下では部下が育たず、挙句、人手不足なのに、人が辞めていくことにつながる危険性があるということ、その結果、組織としては、知らず知らずのうちに弱体化し組織崩壊が始まっているという恐ろしい結末に繋がってしまうこと、経営者や経営幹部は、このことをしっかり認識しておくべきだと考えます。

投稿者プロフィール

矢野 覚
矢野 覚
LINK財務経営研究所 代表 
1982年 4月 国民金融公庫入庫
1993年 4月 公益法人日本生産性本部経営コンサルタント養成講座派遣
2015年 3月 株式会社日本政策金融公庫退職
2015年10月 株式会社山口経営サポート(認定支援機関)入社
2019年12月 同社 退社
2020年 2月 LINK財務経営研究所 設立
2022年 5月 健康経営アドバイザー
2022年 7月 ドリームゲートアドバイザー
中小企業金融の現場で、33年間、政府系金融機関の担当者~支店長として事業資金融資の審査(与信判断)や企業再生支援、債権回収業務に従事するとともにそれに関する稟議書の起案・決裁に携わっていました。
その後、中小企業の財務責任者として資金調達、経営改善業務をお手伝いさせていただき、短期間で赤字体質の中小企業を黒字体質に改善するコトができました。
こうした経験を活かして、「財務の力でヒトとカイシャを元気にする」ために、小規模事業者・中小企業の皆さまのお役に立ちたいと考えています。

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