第89回 【2000字commentary】コロナ借換保証~民間ゼロゼロ融資等の返済負担軽減のための保証制度~

資金繰り

「こんにちは、かんれき財務経営研究所の雄蕊覚蔵です!」第89回は「コロナ借換保証~民間ゼロゼロ融資等の返済負担軽減のための保証制度~」と題して、今年1月10日からスタートした「コロナ借換保証制度」についてお伝えします。

 

【ゼロゼロ融資】
ゼロゼロ融資とは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により売上が減少した中小企業の資金繰り支援を目的とした融資です。政府系金融機関では2020年3月、民間金融機関では同年5月に開始され、民間の金融機関は2021年3月、政府系金融機関は2022年9月に受付を終了しています。

実質無利子(利子ゼロ)・無担保(担保ゼロ)という好条件での融資制度であり、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた多くの中小企業により活用されてきました。
民間金融機関の融資の概要を見ると、融資の対象になるのは新型コロナウイルスの影響で売上が減った個人事業主と小・中規模事業者で、融資上限額は4,000万円(拡充前は3,000万円)、融資期間は10年以内、そのうち元金の返済が猶予される据え置き期間は5年以内といった内容でした。

ゼロゼロ融資の元金返済開始期間は2023年7月から2024年4月に集中する見込みですが、経営状況が立て直せず、返済が大きな負担になる企業も多いことが指摘されています。

【今後の資金調達の重要性】
新型コロナウイルス感染症拡大に加えて、昨年に発生したロシア等によるウクライナの侵略や歴史的な円安の影響による原燃料価格や物価の高騰、人手不足の激化等が企業の事業活動に多大な影響を及ぼしており、多くの中小企業が引き続き厳しい経営状況にあります。

こうした中で積み上がった債務の返済負担への対応はもちろん、事業再構築などの前向きな取組の促進等、個々の事業者の実態を踏まえた支援が重要になります。

今回創設されるコロナ融資の借換保証制度は、返済負担軽減のみならず、新たな資金需要がある場合にも活用可能です。一定の要件を満たした中小企業者が、金融機関との対話を通じて「経営行動計画書」を作成したうえで、金融機関による継続的な伴走支援を受けることを条件に、借入時の信用保証料を大幅に引き下げる制度で、2023年1月10日より開始となります。

事業の抜本的な立て直しが進まない企業にとっては積み上がった債務の返済負担に加え、物価高等が重くのしかかることになります。政府による新たな借換保証で資金繰りを下支えすることも必要ですが、企業自体がコロナ禍でのニューノーマルな経営を模索し、企業体質の改善に真剣に取り組まなければ、政府等による外部からの支援だけに頼っても限界があります。コロナ借換保証の前提となる経営行動計画の策定が融資先選別につながり、倒産増に拍車をかける懸念もあるのです。

今回の「コロナ借換保証~民間ゼロゼロ融資等の返済負担軽減のための保証制度」に関する中小企業庁のホームページの抜粋を載せておきますので、参考にしてください。

民間ゼロゼロ融資等の返済負担軽減のための保証制度(コロナ借換保証)を開始します。
2022年10月28日に閣議決定された「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」を踏まえ、新型コロナウイルス感染症の影響の下で債務が増大した中小企業者の収益力改善等を支援するため、借換え需要に加え、新たな資金需要にも対応する信用保証制度(コロナ借換保証)を2023年1月10日から開始します。コロナ借換保証について
コロナの影響の長期化や物価高など、多くの中小企業が引き続き厳しい状況にある中、積み上がった債務の返済負担への対応はもちろん、事業再構築などの前向きな取組の促進など、個々の事業者の実態を踏まえた支援が重要です。
そのため、今後、コロナ融資の借換え保証制度を創設することで、返済負担軽減のみならず、新たな資金需要にも対応します。
そこで、一定の要件を満たした中小企業者が、金融機関との対話を通じて「経営行動計画書」を作成したうえで、金融機関による継続的な伴走支援を受けることを条件に、借入時の信用保証料を大幅に引き下げるコロナ借換保証を1月10日より開始いたします。なお、本制度の利用に関しては、金融機関または最寄りの信用保証協会にお問い合わせ下さい。

 

制度概要

保証限度額 1億円
保証期間 10年以内
据置期間 5年以内
金利 金融機関所定
保証料(事業者負担) 0.2%等(補助前は0.85%等)
要件 売上または利益率が5%以上減少 など
その他 ・100%保証の融資は、100%保証での借換が可能
・経営行動計画書の作成
・金融機関の継続的な伴走支援
取扱期間 2024年3月31日まで(予定)

※信用保証協会に保証申込がなされたもの

「コロナ借換保証」の概要について(PDF形式:405KB)

「経営行動計画書」のサンプル(PDF形式:316KB)

ドリームゲートのホームページに「コロナ借換保証の支援ができる専門家一覧」が掲載されていますので、参考までにリンクを張っておきます。
https://www.dreamgate.gr.jp/news2023/karikae.php?fbclid=IwAR1cT4y3luvfTfQ-PjjiYuoCfXmkUH1PKYt1XdK6IyXxWD6v4srDgTayNlo

 

投稿者プロフィール

矢野 覚
矢野 覚
LINK財務経営研究所 代表 
1982年 4月 国民金融公庫入庫
1993年 4月 公益法人日本生産性本部経営コンサルタント養成講座派遣
2015年 3月 株式会社日本政策金融公庫退職
2015年10月 株式会社山口経営サポート(認定支援機関)入社
2019年12月 同社 退社
2020年 2月 LINK財務経営研究所 設立
2022年 5月 健康経営アドバイザー
2022年 7月 ドリームゲートアドバイザー
中小企業金融の現場で、33年間、政府系金融機関の担当者~支店長として事業資金融資の審査(与信判断)や企業再生支援、債権回収業務に従事するとともにそれに関する稟議書の起案・決裁に携わっていました。
その後、中小企業の財務責任者として資金調達、経営改善業務をお手伝いさせていただき、短期間で赤字体質の中小企業を黒字体質に改善するコトができました。
こうした経験を活かして、「財務の力でヒトとカイシャを元気にする」ために、小規模事業者・中小企業の皆さまのお役に立ちたいと考えています。

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