第1回 新型コロナウイルス影響下、経営者の緊急性を要する対応とは

資金繰り

「こんにちは、雄蕊です!」第1回目は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で「資金繰り」が苦しくなった企業の経営者の方にスピード感をもって対応していただきたいコトをまとめてみました。既に多くの専門家の方がコメントされていますが、雄蕊なりの考えをお伝えさせていただきます。

 

《なにより資金調達》

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、世界的規模で経済活動がストップしています。日本でも「緊急事態宣言」発出され、全国的に「休業要請」が出され、飲食店を中心に多くの小規模事業者・中小企業が休業(売上ゼロ経営)を余儀なくされました。

「売上ゼロ経営」を維持するためには、兎に角あらゆる手段を尽くして手許に資金を集めることが急務なのです。なりふり構わず、資金調達に走るべきだと思います。

こういう緊急事態が起こったときに、何が企業の明暗を分けるのでしょうか。それは「手許流動性=お金」が確保できているか否かです。

つまり、売上がゼロでも、とりあえず手許資金で急場を凌ぐことができれば、直ぐに潰れる心配はありません。休業による多大な損失は諦めざるを得ませんが、ある程度の期間は、状況の回復を待つことができますし、その間に回復に向けた次の打ち手を考えることもできます。しかし、もし手許に資金がなければ、あらゆる方法を活用して資金を集めることを最優先に行わなければなりません。資金が回らなくなれば倒産・廃業しか道がなくなります。

 

《政府の資金繰り対策(令和2年4月7日閣議決定 4月20日変更)を活用する》

政府の緊急経済対策の「資金繰り対策」について、雄蕊なりの考えをコメントさせていただくことにします。これは、あくまで雄蕊個人の見解なので、最終的には経営者自身が判断して各自の責任において動いていただきたいと思います。

 

(1)政府系金融機関(日本政策金融公庫)の融資は、利用したほうが良い。既往取引があれば、借換を依頼する。現在、かなり込み合っていて融資実行までに時間がかかるかもしれないが、とにかく申し込みはしておく(申込要件があるので確認は必要、以下同じ)。但し、既往取引がリスケ債権等、問題を抱えた債権だとニューマネーは期待できないかもしれない。こうした企業が、新規融資を受けるには、かなり高いハードルを越える必要があると考える。

(2)地方公共団体の制度融資も利用したほうが良い。民間金融機関から信用保証協会付の既往取引が残っていれば、この制度で借換を依頼する。

(3)新規融資が難しければ既往取引分について元金返済猶予、金利減免等の条件変更(リスケジュール)を要請する。金融機関としては「条件変更債権」は、債務者区分が下位遷移(ランクダウン)するので、経営改善計画(実抜計画)を作成しないと基本的には、応じ難いのだが、今回の場合、個別の資産査定は、各金融機関の判断に任されるようなので、積極的に取り扱ってくれる(?)と思われる。

(4)「持続化給付金」も活用したいが、「事業収入が前年同月比 50%以上減少した事業者」が対象なので、ハードルの高い企業が多いかもしれない。

 

《返済は後で考える》

経営者の多くは、返済負担の増加を考えると、借入金を増やすことに躊躇するのは至極当然のことです。中小企業にとって借入金の元金返済は、かなり負担の重い固定費だからです。

平常時であれば、資金計画を立て、返済の可能性を検証したうえで、借入するのが常道ですが、感染収束がなかなか見えない時点で、資金計画を立てることは困難です。少なくとも、当面の経費等の支払必要額を計算し、それを賄える以上の資金調達をするしかありません。緊急事態では、例えば1カ月毎、3か月毎といった短い期間に絞り、資金繰り実績を確認しながら、短期間の資金計画を立てていくしかないと思います。

返済については、社会が落ち着いてから考えればよいのではないでしょうか。極端に言えば、戦後最大の経済危機、100年に一度の大恐慌、ヒトもカイシャも生死に係わる問題であると思えば、返済のことより目先の資金調達を優先するべきです。

まだ、経済への影響は始まったばかりです。これからジワジワとその深刻さが表面化されると思料されます。世界的規模で経済が止まっているのですから、そんな簡単に需要が回復し、以前のような経済状態に戻るとは考え難いです。3か月先、半年先に現時点で受けたダメージが表面化してくることは疑う余地もありません。加えて、第2波、第3波の感染拡大により、再び「売上ゼロ経営」を強いられる可能性もあり得ます。そう考えればとにかく手許流動性の確保に動いた方がよいと思います。

投稿者プロフィール

矢野 覚
矢野 覚
LINK財務経営研究所 代表 
1982年 4月 国民金融公庫入庫
1993年 4月 公益法人日本生産性本部経営コンサルタント養成講座派遣
2015年 3月 株式会社日本政策金融公庫退職
2015年10月 株式会社山口経営サポート(認定支援機関)入社
2019年12月 同社 退社
2020年 2月 LINK財務経営研究所 設立
2022年 5月 健康経営アドバイザー
2022年 7月 ドリームゲートアドバイザー
中小企業金融の現場で、33年間、政府系金融機関の担当者~支店長として事業資金融資の審査(与信判断)や企業再生支援、債権回収業務に従事するとともにそれに関する稟議書の起案・決裁に携わっていました。
その後、中小企業の財務責任者として資金調達、経営改善業務をお手伝いさせていただき、短期間で赤字体質の中小企業を黒字体質に改善するコトができました。
こうした経験を活かして、「財務の力でヒトとカイシャを元気にする」ために、小規模事業者・中小企業の皆さまのお役に立ちたいと考えています。

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